手のひらサイズのダックスフンドの子犬 トライアルの唯一の心配は先住犬との折り合い 家族や仲間になれるかな
2023年、茨城県の動物愛護センターに1匹のダックスフンドの子犬が収容されました。後に「どれみ」と名づけられました。手の上に乗るほどの小さな体ですが、収容の経緯はわかりません。月齢が浅く、置かれた状況を把握できていないからか、元気いっぱいで職員に甘えるそぶりを見せていました。
どれみを知った犬保護団体restartdog LIEN(以下、リアン)のスタッフは迷わず引き出し、どれみにピッタリの里親希望者さんへのマッチングを目指しました。
■里親希望者さんの家には先住犬がいた
ワンコにまつわる用語で「社会化期」というものがあります。社会に順応するのに最も適した期間のことで、一般に生後3週間~14週間目と言われています。
どれみの月齢はまさにこの社会化期にリアンにやってきたわけですが、素直な性格で健康状態も良好。この上ないお利口さんの子犬でした。保護から約2週間ほど経ち、「どれみを迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。すぐに家庭になじむだろう、とリアンのスタッフは考えましたが、不安も少しありました。
不安とはその里親希望者さんの家に先住犬がいることでした。ワンコは人間とのコミュニケーションを大事にする動物。急に見ず知らずのワンコとの共同生活となれば、信頼を寄せる里親さんの愛情を奪い合う格好になるケースもあり、ときに先住犬と後から来たワンコとの間で争いになることもあります。スタッフはどれみのトライアルの際、「まずは先住犬のケアを優先してください。どれみは性格が良い子なので、その上で自然となじんでいくこと期待しましょう」と助言しました。
■優しい先住犬がどれみを「家族」として認識してくれた
助言に従い、先住犬のケアを最優先にしつつ、それとなくどれみを見守った里親希望者さん。どれみはその性格の良さから、心を閉ざしたり先住犬と争ったりする様子は見せず、元気いっぱいマイペースで家庭に溶けこんでいきました。先住犬は、元気すぎるどれみに圧倒される場面もありましたが、頑なに拒む様子はなく、どれみの存在を迎え入れてくれているように見えました。
里親希望者さんは2匹に配慮しながら、「2匹一緒にると、楽しいことがあるよ」「2匹一緒なら1匹よりも幸せに過ごせるよ」と一緒にスキンシップを深め、どれみと先住犬がずっと仲良く過ごせるような雰囲気を作りました。
どれみも先住犬もお互いを「仲間」「家族」として認識するようになったことで、この里親さんへ正式譲渡となりました。先住犬の名前が「あずき」だったことから、どれみはこの家で「福豆」という新しい名前をもらいました。「豆つながり」で決まった名前です。その縁起の良い名前の通り、いつまでも元気いっぱいの幸せな犬生をおくってくれることを祈るばかりです。
犬保護団体restartdog LIEN
https://restartdoglien.jimdofree.com
リアン・インスタグラム
https://www.instagram.com/restartdoglien/
(まいどなニュース特約・松田 義人)