金融資産は数億円…60代男性「相続税対策、マンション投資だけじゃ不安」 FPがすすめる手軽な現金対策は

相続税を納める人はどれくらいいるのでしょうか。生命保険文化センターが2021(令和3)年に公表した情報によれば、全体の約9.3%となっています。その一方で、東京国税庁と東京都福祉保健局の統計をみると、東京都の都心部に居住する人々の中では、おおよそ5人に1人が相続税の支払い義務があるようです。相続税は想像以上に身近な問題かもしれません。

■銀行員のアドバイスでマンション投資しているけれど

Aさんは都内に住む60代の男性で、都内に一軒家と複数のマンションを保有しており金融資産も数億円あります。したがって自身が亡くなった時には相続税の支払い義務が生じるのです。

そのためAさんは何かしらの相続税対策を早いうちから始めたいと思い始めました。実際、Aさんが複数のマンションを購入したのも、相続税対策に良いと銀行員からアドバイスがきっかけです。

アパートローンなどの負債は相続財産から差し引ける効果があり、さらに不動産の価値は現金に比べて低く評価される傾向があるので、マンション投資を始めたことは後悔してないようです。

しかし、「今以上の相続税対策」をAさんは望んでいるようです。ほかにどのような手段があるのか、FPの鳥居佳織さんに聞きました。

■一時払い終身保険は簡単にできる相続税対策の1つ

--現在、Aさんはマンション投資等の相続税対策を行っていますが、他にできる対策はありますか?

相続税対策なら、死亡保険金の非課税枠が利用できる「一時払い終身保険」はいかがでしょうか。

--「一時払い終身保険」とはなんですか?

一時払い終身保険とは、一括で保険料を支払う終身保険です。一般的に保険と聞くと、毎月一定の金額を支払うイメージがありますが、一時払い終身保険は保険料を一括で払うタイプの保険です。

終身保険として高度障害などへの保障は付いていますが、一括で保険料を支払うため、持病やケガなどの有無を告知しなくても加入できる商品が多いことも特徴です。

また、死亡保険金という形で現金を家族に遺せることから、現金の相続での相続税対策で困っている人におすすめしています。

-- 一時払い終身保険にはどのような相続対策の効果があるのですか?

一時払い終身保険が相続税対策になるポイントは3つあります。

・生命保険には非課税枠がある

・米ドルなど外貨建ての一時払い終身保険は金利が高い

・受取人を指定できる

それぞれのポイントについて説明します。

■生命保険には非課税枠がある

--生命保険の非課税枠とはなんですか。

生命保険には法定相続人一人当たり500万円の非課税枠があります。例えば、配偶者と子どもが2人いる場合、合計1500万円の非課税枠があります。現金で保有すると、全てのお金に税金がかかりますが、生命保険は非課税枠があるので、相続税対策に有効です。

■米ドルなど外貨建ての一時払い終身保険は金利が高い

-- 一時払い終身保険にはどのような種類がありますか?

一時払い終身保険には日本円建ての商品と米ドル等の外貨建ての商品があります。日本円建ての商品に関しては、現在日本の金利が低いため、あまり大きく保険金は増えません。

一方、米ドルについては金利が高いため、大きく保険金が増えます。

もちろん外貨の場合は為替のリスクがあるので注意が必要ですが、大きくお金を残せる可能性があるのは相続税対策のメリットになるでしょう。

■受取人を指定できる

--その他の一時払い終身保険のメリットを教えてください。

一時払い終身保険は生命保険なので、受け取り人をあらかじめ指定できます。また、原則として遺産分割協議の対象外になるため、遺産分割協議がまとまる前に保険金を受け取ることが可能です。一時払い終身保険は契約してから一定年数経つと解約返戻金が支払った保険料以上に増えるものもあります。相続税対策だけではなく、ご自身の将来のお金としても使えるので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?

◆鳥居佳織(とりいかおり)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大手生命保険会社にて8年間勤務。保険コンサルティングでは個人、法人、問わず生命保険や損害保険を幅広く販売。金融ジャンルの専業ライターとして活動中。金融全般に関するさまざまな相談に応じてきた経験があり、実体験ベースでの執筆が得意。主に保険、年金、資産運用など幅広く執筆している。

(まいどなニュース特約・八幡 康二)

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