「街頭インタビューみたいな服装」 音大の卒業演奏会チラシ、ジャズ科首席がまさかのTシャツ姿に爆笑

大阪音楽大学(大阪府豊中市)の卒業演奏会のチラシが、SNSで笑いを巻き起こしている。ドレスやスーツで正装した卒業生がきりっとした表情で並ぶ中、左下の男性だけオレレンジ色のTシャツを着て、無表情。「街頭インタビューみたいな服装」「一人だけアルバイトの面接写真」などと話題になっているのだ。実はこの男性、同大ジャズ科首席のサックス奏者。どうしてこうなった!?

■「ちゃんとした服で撮るなら教えてくれよ」

大阪音大4年の石脇陽太さん。ジャズサックス奏者の・古谷光広さんに師事し、作曲や編曲も手掛ける。3月の卒業公演は学校側が選んだ人しか出演できず、昨年のジャズ科の該当者は0人。今年は同科から石脇さんだけが選ばれたという。

卒業演奏会のチラシは、自身のXに投稿。「ちゃんとした服で撮るなら教えてくれよ」との文言を残していた。しかし、実情は違うようで…。「何も知らされずに1人だけTシャツになった訳ではなく、普段の恰好で写真を撮ろうと自分から提出しました」と説明する。大学職員から事前確認の電話もあり、周りの様相も確認した上で承諾したという。

では、なぜあえてTシャツの写真を選んだのか-。「真面目な話をすると、クラシックやジャズって敷居の高いイメージを持たれているように感じていたんです。でも、他の大学生が勉強するように、僕らは音楽を勉強しているだけ。飾らなくていいんじゃないかな、と思ったんです」と石脇さん。しかし、何気ない投稿は拡散され、大反響。「4年間掛けて取り組んだ音楽の集大成が、壮大なフリとオチになったなと思います(笑)」と話す。

ちなみに着用したTシャツは、尊敬するミュージシャン・平沢進さんのグッズ。税込み2750円で、公式オンラインショップで販売されている。

■お世話になった恩師を偲んで

遊び心のある石脇さんだが、今回の卒業公演には、強い思い入れもある。首席にまで育ててくれた恩師の古谷さんが先月末、亡くなったのだ。「卒業公演も見ていただく予定でしたが、叶わぬ夢となりました。でも不思議なことに今回の投稿の前日に先生が亡くなっているんです。拡散は先生が仕組んで回り回って観に来てくれる人を増やしてくれているのではないかな、とも思います。先生を偲んで、思い出の曲を大事に演奏したいです」

卒業公演は3月13~15日で、入場無料。14日に出演する石脇さんの衣装は…Tシャツではなく、規定のスーツだという。

(まいどなニュース・山脇 未菜美)

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