4000万円の一戸建て、営業担当者に急かされるまま購入したが…「将来の選択肢を狭めてしまったかも」 ライフスタイルが一変した夫婦の後悔
皆さんは、今の家に満足していますか? 戸建てを購入したり、マンションを購入したり、もしくは購入せず賃貸に住んでいる人もいるでしょう。しかし、全員が今の選択に満足しているわけではありません。
■妻の妊娠をきっかけに
Wさん(30代男性、WEBマーケター、関東在住)は妻(20代女性、アパレル会社勤務)と、都内の賃貸で2人暮らしをしていました。住んでいたのは1LDKと少々手狭ではありましたが、2人とも会社に勤務していたので、日中は家にいることも少なく、特に気にせずに過ごしていました。しかし、妻の妊娠が分かり、家族が増えることを見越して、広い家に引っ越すことを決意しました。
最初は都内の新築マンションを探していましたが、最低でも8000万円ほどすることがわかり、自分たちの収入では難しいことがわかりました。中古マンションでも都内は4000万円と高額だったので、都内から外したエリアで、建て売りの一戸建てを探していくことにしました。
購入したからにはずっとそこに住み続けるつもりだったので、スーパーや学校が近いかなど、生活環境が整っているかどうかを第一条件にしました。その一方で、駅に近いかどうかは条件に入れておらず、自転車で通える距離なら大丈夫だと考えてました。
しばらくして、条件的にとても良い建て売り住宅が4000万円ほどで販売されていました。白を基調とした内装で、よく見るタイプの家ではありましたが、近くにスーパーや、大きな公園、学校もあり、周辺環境がとても良かったのが気に入りました。駅までも自転車で15分ほどと許容範囲です。
内覧して2日後くらいに、営業担当者から連絡があり「ほかにも検討中の人がでてきた」「住宅ローン減税の控除額が変わるので、早めに決めたほうが良い」などと急かされました。もう少し検討したい気持ちもありましたが、ほかに良い物件もなかったので、思い切って購入に進みました。
■購入してから後悔していること
今の家に住んでから、不満に思っていることもあります。
一つ目は、近くのスーパーが潰れてしまい、購入した時より生活環境が悪くなってしまったということです。徒歩で買い物に行くのは難しくなり、車で10分ほどかかるところまで行かなければいけません。
二つ目は、新型コロナウィルスの影響で、Wさんの会社はテレワーク主体の働き方になりました。出社する頻度は月1回程度でよくなり、毎日通勤できる場所にこだわる必要もなくなってしまいました。そして、妻も当分子育てに専念することになりました。お互いの会社のことを考えて今の住まいをを選びましたが、場所を選んだ必然性が全くなくなってしまったのです。
もっと良いところを探せたのではないか…と思ってしまうものの、家を購入してしまった以上、お金の問題なども含めて、なかなか簡単に移動するわけにもいきません。「将来の選択肢」を大きく狭めてしまったのではないかと後悔しています。
「営業担当者などに急いだほうがいいと言われたこともあり、あわててしまったかもしれません。購入を決めた時は、まあいいかと思っていましたが、やはり社会情勢なども含めて焦らずゆっくり探すべきでした」とWさんは話しています。
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このような購入後の悩みはよくあることなのでしょうか? アルファホーム名古屋株式会社でマンションコーディネーターとして、不動産仲介も担当している川本麻登さんに聞きました。
■購入してからライフスタイルが変わることも
ーー物件を買ってから後悔したというケースは多いのでしょうか?
購入してからでしかわからないことは多くあると思います。例えば、マンションであれば隣人がうるさいことが購入してからわかったり、Wさんのように生活スタイルが途中で変わってしまうというのはよく聞きます。Wさんのパターンは営業担当者に急かされてしまったのも良くなかったかもしれませんね。
ーーWさんも話していた住宅ローンの減税の控除額などはその時によって変わるものなのでしょうか?
住宅ローン減税とは、住宅ローンを利用してマンションや戸建てを購入した際に、「年末時点での住宅ローンの残高の0.7%」が、入居時から最長13年間にわたって、給与などから納めた所得税や住民税から控除される制度のことをいいます。
控除額については、2022年の改正で、控除額と控除期間も変更されました。以前は控除率1%、控除期間10年間でしたが、2022年以降では、控除率0.7%、控除期間13年間(既存住宅および増改築は10年間)となっています。また、性能の高い住宅を購入するほど、控除額の上限が高くなっています。
ただ、大きな変更が頻繁にあるわけではないので、購入するときにそれを優先して購入してしまうと、物件自体に後悔したりする傾向にありますので、あまりこだわりすぎないようにしましょう。
◆川本麻登(かわもと・あさと)アルファホーム名古屋株式会社 マンションコーディネーター
(まいどなニュース特約・ヨシダ コウキ)