文明堂のカステラ、パッケージにある「123」って何? 「若い人は知らないか~」の声多数…文明堂に真相を聞いた
和菓子、洋菓子というジャンルを超えて人気なのがカステラ。ふんわりした口溶けと蜂蜜の甘い香りが口中に広がります。カステラと言えば、老舗の文明堂が有名ですが、やきいもボーイ(PIZZA BOY)さん(@boyboyboy2019)は、商品に描かれていたレトロな絵を見て疑問に思うことがありました。
「可愛いから買ったんだけど横に書いてある123ってなに?」
そうXに投稿したところ…
「カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂」
というコメントが多数寄せられ、
「うわー、そうか、、、若い子は知らないんだ~!なんかショック」
「昭和レトロの可愛いパッケージ!近所のスーパーでCM歌流れてるわ。
昔の歌声ってやたら高音だよね」
と、昔を懐かしむ人も。
なんとなくコマーシャルに由来していることは分かったのですが、真相を確かめるため文明堂東京にお話を聞きました。
ーーこのイラストの由来は?
「弊社のテレビCMで使用している『カステラ1番、電話は2番、3 時のおやつは文明堂』 というフレーズをイラストで表しております。元のキャッチコピーであった『カステラ1番、電話は2番』 は、創立者の宮﨑甚左衛門が考案しました。1935年の電話帳広告に使用されていた記録が残っています」
ーー電話番号は1桁だったのですか。
「電話が普及し出した頃の1890年代は、電話と電話の間に『交換手』と呼ばれる人がいて、その交換手が相手につなげてくれることによってやっと相手と話ができました。電話機の受話器をあげると交換手につながり、新宿の○番のAさんに繋げてくださいと通話先の交換手に伝えると、Aさんにつないでくれるという仕組みでした。この○番が文明堂の場合『2番』だったのです。」
ーーそれも甚左衛門さんが考案されたのですか。
「甚左衛門は、『電話帳を探す時間と手数を省くだけでも、お客様に対する大きなサービスである』と言っていたそうです。カステラの本場・長崎から東京へ進出する際、東京の方々にも『文明堂』を覚えてもらうために、電話番号は分かりやすいものがいいと考えたとも伝わっています。お肉屋さんなら二九八(ニクヤ)番、お花屋さんなら八七八(ハナヤ)番。そして生まれたのが『カステラ一番、電話は九一(ココイチ)番』でした。実は当時の新宿店は『二番』ではなく『九一番』のキャッチフレーズで始まったのです」
ーー仔グマのイラストもとても可愛いですね。
「弊社のテレビCMで踊る人形がクマでございます。CM放映開始当時1962年頃は日本でクマが人気だったそうです。オッフェンバック作曲の『天国と地獄』のメロディーに合わせて『カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂』と仔グマがカンカンダンスを踊っているCMは、1962(昭和37)年から現在まで続いています。1951(昭和26)年の民放開局のころ、カステラをお土産やお見舞いだけでなく、気軽に買える身近なお菓子にするため、当時最先端であったテレビCMを流すことにしたそうです」
ーー仔グマなのに尻尾が長くありませんか。
「当時は、オーストラリア人のノーマン&ナンシー・バーグ夫妻のマリオネットショーという番組が人気でした。音楽に合わせて可愛いぬいぐるみたちが踊るのを見た担当者が、『これはきっと子どもたちに喜ばれる』と思い、夫妻に交渉。バーグ夫人にぬいぐるみを手作りしてもらいました。夫妻は、欧米で人気のあった猫にしようと思ったので、尻尾の長いぬいぐるみを作ったのですが、日本では猫より仔グマの方が人気があったので、尻尾の長い仔グマが誕生したそうです」
東京進出に際して、定価を表示するなどさまざまな工夫を凝らしたという文明堂東京創業者の宮﨑甚左衛門。キャッチーなフレーズや可愛い仔グマは、令和の時代にも愛され続けています。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)