【インボイス制度】フリーランスの半数近く「課税事業者に登録していない」…メリットが感じられず、廃業の検討も
2023年10月にインボイス制度が始まりましたが、フリーランスで課税事業者登録をしている割合はどのぐらいなのでしょうか。アン・コンサルティング株式会社(東京都渋谷区)が実施した「インボイス制度」に関する調査によると、フリーランスの半数近くが現時点で「課税事業者に登録していない」ことが分かりました。また、課税事業者登録をしていない理由としては、「メリットが感じられないため」が最多となったそうです。
調査は、企業から業務を請け負っている全国のフリーランス300人を対象として、2024年1月にインターネットで実施されました。
まず、「インボイス制度の認知度」について調査をしたところ、全体の57.0%が「内容まで知っており理解している」と回答しました。その一方で、39.7%が「聞いたことはあるが説明できない」と回答しており、今後も制度に関して十分な理解促進の必要性があることが分かりました。
また、インボイス制度の影響で「廃業もしくは雇用形態の変更を検討しましたか」と聞いたところ、55.0%の人が「検討しない」と回答。一方、「検討した/検討している」は17.7%、「まだ検討していないが、今後検討するかもしれない」が19.0%と、合わせて36.7%が、働き方の見直しを検討する可能性があることも明らかとなりました。
次に、インボイス制度について「知っている」と答えた290人に対して、「課税事業者登録の状況」について聞いたところ、「登録した(課税事業者)」(27.6%)と「これから登録する予定(課税事業者予定)」(4.1%)を合わせて31.7%に留まりました。一方で、「登録していない(免税事業者)」は45.9%となり、登録状況は依然低いことがうかがえます。
また、「課税事業者登録をした(する予定の)理由」について複数回答可で答えてもらったところ、「取引先に依頼されたため」(41.3%)、「個人事業主として自身の収支を把握しておきたいため」(34.8%)、「年収に影響するため」(14.1%)といった回答が上位に挙げられました。
一方、「課税事業者登録をしていない理由」については、「メリットが感じられないため」(60.2%)が最多となったほか、「よくわからないため」(30.1%)、「業務負担が増えるため」(24.1%)といった回答も挙げられ、制度開始後3カ月が経過しているものの、未だ「よくわからない」「情報不足」という人が一定数いることが分かりました。
続けて、「課税事業者登録した」と答えた人に対して、「業務や取引への影響」について聞いたところ、52.5%の人が「影響はなかった」と回答。
「良い影響があった」(2.5%)と答えた人からは、「単価アップができた」「契約を延長してもらえた」という声が寄せられた一方で、「悪い影響があった」(16.3%)と答えた人からは、「仕事が減った」「事務処理の時間が大きく増えた」という意見もみられました。
最後に、「課税事業者登録について、不安に思うことがありますか」と聞いたところ、「不安に思うことがある」は42.0%、「不安に思うことはない」は21.0%、「なんともいえない」が37.0%という結果になりました。
「不安に思うことがある」と答えた人からは、「課税事業者でないと、この先仕事ができなくなるのではないかという不安」「メリット・デメリットが分からない」といった意見のほか、「相談をどこにしていいか分からない」という声も目立ち、インボイス制度に関して気軽に相談できる窓口が今以上に求められていることがうかがえたそうです。