「部下への忖度経験がある」と答えた上司は約9割…上司が忖度をするのはどんなとき?
「部下への忖度経験がある」と答えた上司は約9割--そんな調査結果が、株式会社ライボ(東京都渋谷区)の調査機関『Job総研』が実施した「2024年 上司と部下の意識調査」で分かりました。また、忖度の場面では、「トラブルやミスが起きたとき」が最も多くなったそうです。
調査は、同社が運営する匿名相談サービス『JobQ Town(ジョブキュータウン)』を利用する全国の20~50代の社会人男女629人を対象として、2024年1月~2月の期間にインターネットで実施されました。
まず、「部下に求められることの昭和から令和での変化」について聞いたところ、全体の77.8%が「変化したと思う」と回答。なお、「変化したと思う」と答えた割合を上司と部下でみても、上司が82.7%、部下が84.0%と双方で大きな差はみられませんでした。
また、「変化したと思う」と回答した489人にその内容を複数回答で答えてもらったところ、「プライベートの優先度」(52.8%)が最多となり、次いで「コミュニケーション」(48.5%)、「職場や仕事に対する考え方」(42.7%)が続きました。
さらに、「変化に影響したと思う背景」を聞くと、「労働環境の変化」(55.0%)、「多様性の尊重」(52.8%)、「ライフスタイルの多様化」(46.6%)といった回答が上位に並びました。
続いて、「現在部下がいる」と回答した162人に「部下の理想像」を複数回答で教えてもらったところ、「コミュニケーションを大切にする」(59.7%)、「自身の考えや提案を積極的に伝える」(50.0%)、「自己管理と能力の向上に努める」(44.4%)などが上位に。
一方、「現在上司がいる」と回答した487人に「上司との関わりで意識すること」を聞くと、「敬意を払う」(60.9%)、「コミュニケーションを大切にする」(56.6%)、「上司の指示に従う」(53.6%)といった回答が上位に挙げられました。
次に、現在部下がいる162人に「部下への忖度経験」を聞いたところ、91.4%が「忖度経験がある」と回答。具体的な忖度の内容については、「トラブルやミスが起きたとき」(60.1%)が最も多く、次いで「業務の優先順位や量の変更があるとき」(45.9%)、「チームの雰囲気が良くないとき」(39.9%)が続きました。
回答者からは、「私が部下だった時はなんでも上司に合わせるのが普通だった」「パワハラを恐れ上司としては強く出にくい」「下に気を遣わないと信用されない時代な気がする。お互い忖度をしあってなんぼの世の中」といった意見が寄せられました。
一方、現在上司がいる487人の忖度経験については、71.8%が「忖度経験がある」と回答。具体的な場面としては、「気に入られるために同調をしておく」(58.1%)、「衝突しないよう自分の意見を控える」(48.0%)、「自身の評価を下げないため批判的意見は避ける」(45.8%)などに回答が集まりました。
回答者からは、「上司には忖度するが、それは上司に気に入ってもらい関係性を深めたいと思っているから」「部下が忖度するのは令和でも変わらない。関係性維持のためにも上司を立てるのも部下の役割」「過度に上司を持ち上げるのは逆に信用が薄れる気がする。だが部下として上司に従うのは当たり前」などの意見が寄せられています。
また、「上司と部下の振る舞いへの賛否」を聞くと、全体の66.4%が「”部下が上司に合わせる”に賛成」と回答しており、上司・部下別でみると、賛成派の上司は65.4%、賛成派の部下は64.8%という結果になりました。
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調査を実施した同機関は、「昭和から令和で様々な社会背景を経て、部下に求められることが変化しているのは自然だと考えられる。しかし、上司と部下の間で理想像と実際の意識にギャップが生じている結果から、互いに歩み寄りすぎると意思疎通だけでなく、期待値のズレが大きくなる可能性もある」と分析。
その上で「職場でのコミュニケーションエラーを防ぐためにも、今後は双方が"上司も部下に忖度する時代"を前提としたコミュニケーションを取っていく必要がある」と述べています。