【ブギウギ】「マミーのマミーや」愛子のあどけない問いに答え、溶けていったわだかまり……スズ子とキヌが“家族”になった瞬間
今週放送した『ブギウギ』第23週ではスズ子(趣里)の父・梅吉(柳葉敏郎)が香川で亡くなった。本日3月8日に放送された111話では、スズ子の産みの母であるキヌ(中越典子)が梅吉の葬儀に参列し、スズ子は15年ぶりに実の母と語り合った。娘の愛子(小野美音)に「あのおばあちゃん誰? マミーのお友達?」と聞かれたスズ子は「マミーのマミーや」と答え、ようやく自らの出生にまつわるわだかまりを解くことができた。この「涙の週タイトル回収」シーンと香川でのロケについて、制作統括の福岡利武さんに聞いた。
■スズ子とキヌが語り合ったのは、“あの”松林
「第23週では、スズ子が初めて出生の秘密を知った第4・5週週以来、久しぶりの香川ロケを行いました。香川の空気も相まって、スズ子を演じる趣里さんも、キヌを演じる中越典子さんもとても気持ちが入って、海辺の松林での2人の会話は本当にいいシーンになったと思います。台詞で多くは語らないのですが、『許す、許さない』を超えた2人の、言葉にならない思いが詰まったシーンで、『親子の再出発』にもなっていました。ちなみに、スズ子とキヌが話すあの松林は、第5週で出生の秘密を聞かされたスズ子が泣きながら走り抜けた松林なんです」
また、110話でスズ子の出自について初めて語り合う梅吉とスズ子の姿が描かれたあと、続く111話でスズ子と実母・キヌの和解を描くという「たたみかける作劇」について、福岡さんはこう説明する。
「梅吉との語らいと別れをしっかりと描いたうえで、スズ子がキヌに対してどんな思いを抱くのかということを描きたいと考えました。スズ子は、梅吉が亡くなる直前まで出生の秘密を胸にしまって、梅吉とツヤ(水川あさみ)が本当の両親であるという思いを遂げたかった。そして最後の瞬間に、やっと本当のことを語り合うことができた。そのプロセスを経たからこそ、キヌのことを『マミーのマミーや』と言えることができたのだと思います。
スズ子がキヌに直接何か言うのではなく、愛子に答えるかたちで自然に言葉にするという足立紳さんの脚本が素晴らしいですね。最初はぎこちない2人でしたが、互いに話すうちに『また会いたい』という思いがあふれてきて、別れ際に『また、会いましょね』『はい、また』と言うところは、おそらく足立さんご自身がそういう気持ちになって書かれたのではないでしょうか。スズ子にとってキヌは産みの母ですが、『ブギウギ』のテーマのひとつである『家族になる』というのは、この2人にも当てはまるのだと思います」
■趣里と中越典子はとても仲良し。その関係性がシーンに出た
さらに福岡さんは、キヌを演じた中越典子と、香川ロケについて、こうふり返った。
「キヌは本当に難しい役どころで、中越さんご自身、現場で何度も『難しい』とおっしゃっていました。それでもいろんな難所を突破して見事に、そしてとても自然にキヌを演じてくださいました。趣里さんとのお芝居の呼吸もばっちり合っていて、香川ロケの撮影の合間、お2人がとても仲良くお話しされているのが印象的でした。その関係性があったからこそ、いいシーンが撮れたのではないかと思います。松林でのロケが終わったあと、きれいな松ぼっくりが落ちていたので、中越さんが『お土産に』とたくさん拾われていったのが微笑ましかったです」
かつてスズ子は山下(近藤芳正)、坂口(黒田有)、りつ子(菊地凛子)の前で、自らの生い立ちを「もらい子やったんです」と明かした。しかし今週のエピソードを経てスズ子の境遇は、「愛する『本当の親』が3人いる」ということに変わったのかもしれない。
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『ブギウギ』
【出演】趣里 水上恒司/草彅剛 蒼井優 菊地凛子 生瀬勝久 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【脚本】足立紳 櫻井剛
【音楽】服部隆之
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
【放送時間】
▽NHK総合
毎週月曜~土曜 前8:00~8:15/(再)後0:45~1:00(※土曜は一週間を振り返り)
毎週日曜(再)前11:00~11:15
翌・月曜(再)前4:45~5:00(※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送)
▽NHK BS・NHK BSプレミアム4K
毎週月曜~金曜 前7:30~7:45
毎週土曜(再)前9:25~10:40(※月曜~金曜分を一挙放送)
(まいどなニュース特約・佐野 華英)