片目がつぶれ、やせ細った子猫 60匹の多頭飼育崩壊から救出「痛かったろう」→「めしをくれー!」2本脚でおねがりする甘えん坊に
風花ちゃん(生後8ヶ月・メス)は、子猫の時に柏市動物愛護ふれあいセンターに収容された。預かりボランティアをしている千葉県在住のももこさんは、2023年9月、他の猫を引き取りに行った時、職員に風花ちゃんを紹介されたという。
「風花は60匹以上の多頭飼育崩壊をしたところからレスキューされた子でした。収容時、飛び出していた片目は既に乾燥していたため摘出することになったそうです。残されている目も瞬膜(眼球を水平に動く膜)が癒着していました。こんな状態になるまで放置されていたのですから、想像もできないほど過酷な状況で生き抜いてきたのだと思います。どんなに痛かっただろう、辛かっただろうと思いました。」
ももこさんは、風花ちゃんをセンターから引き出して、そのまま動物病院に行った。道中、車の中は何とも言えない臭いが充満した。
「多頭飼育崩壊から来た子だから体臭がするのだと思っていましたが、鳴く度に臭い。口臭でした。診察してもらったら、口の中全体が歯肉炎になっていて、上下とも歯肉が真っ赤になっていました。ヘルペスにも感染しており、痩せてふにゃふにゃしていました。」
■成長できない小さな猫
家には他の猫もいたので、しばらく隔離した。
「寂しくてドアの前で鳴いていました。ご飯は全然食べないし、キャットタワーのカップにいつももたれかかっていました。ちゃんと寝ているかとか、いつも不安を抱えながらお世話していました。ドアの前でよく鳴いて、後追いするので、ヘルペスウイルスが落ち着いたタイミングでフリーにしました。他の子に感染したらどうしようと悩みましたが、幸い誰も感染せず過ごしています。」
他の猫達が、ご飯の時間になると、「めし!めしをくれーーーー!」と鳴いている姿を見て学んだようで、風花ちゃんも2本脚で立ち上がり一番に鳴くようになった。
「2024年1月に避妊手術をしました。推定7ヶ月だったのですが、子宮が未成熟でした。歯が永久歯に生え変わっていたので、手術が早すぎたわけではありません。身体の大きさも、子猫のままです。先生からは栄養が足りなかったんだねと説明を受けました。」
小さくて可愛い猫なので里親が見つかると思ったが、風花ちゃんはももこさんが育てることにした。
「今はかなりお転婆さんになりました。大きい子には勝てないので、椅子の上から下にいる子に猫パンチしているのですが、その姿が可愛くて仕方がありません。最近は膝の上から全く降りなくて、モミモミしています。我が家が安心できる場として認められたのかな……なんて思っています。」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)