ローカル線の心打つ卒業メッセージ…SNSで大反響! 実際に書いた島根・JR木次駅を訪問、背景を追った

「ガラ線区」で通学を続けてくれてありがとう。明るい未来に向かって出発進行!!

島根県の中山間地域を走る「まるでガラパゴスのような」JR木次線。そんな路線で毎日通学した高校の卒業生に向け、木次線を管理するJR木次鉄道部の社員がつづった感謝のメッセージが、X(旧ツイッター)で注目を集めている。ローカル線ならではの「乗客との距離の近さ」を感じさせる温かい文面が、全国の鉄道ファンらの心を打っている。

メッセージは木次鉄道部の細田浩さん(61)が桜と列車のイラストを添えてホワイトボードに書き、JR木次駅(雲南市木次町里方)に掲示した。旅行で木次駅を訪れた愛知県在住のmumin papa(ムーミンパパ)さんがメッセージを見つけ、2月21日に写真をXに投稿したところ、表示回数(インプレッション)が460万回を超え、「いいね」が8万件に上った。

■ ♡自虐的にも心打つ文章

メッセージは3年間の通学に感謝を伝え、悪天候による運休やエアコンのない待合室といった不便をわびた。たびたびイノシシが線路近くに出現する木次線を「ガラパゴスのよう」と自虐的ユーモアを織り交ぜた。最後は卒業生が今後充実した日々を送るよう願い「明るい未来に向かって出発進行!!」と締めくくった。

■ ♡大反響に投稿者も驚き

丁寧な字で気持ちが伝わる文章に、X上では「泣けた」「ほっこりする」といった感想が多く寄せられたほか、路線の利用低迷を危ぶみ存続を願う投稿も見られた。

両親が島根出身のムーミンパパさんは、島根のローカル線や地域を応援するため木次駅を訪問。「こんなに素晴らしい方々が働いている木次線は何としても残してほしい。木次駅に併設されている観光案内コーナーで対応してくれた女性の方も親切な方で感謝したい。これからも時間があれば木次線に乗りたい。逆境に負けるな! 頑張れっ木次線!!」とコメントした。

細田さんは思わぬ反響に驚きつつ「投稿者に見つけてくれてありがとうと伝えたい。多くの人が笑顔になってくれる木次線であり続けたい」と話した。

■ ♡木次線にある魅力

2022年6月にJR米子駅から木次鉄道部に異動した細田さんは、木次線の魅力について「人と人との交流があることですね」と語る。

駅で清掃や掲示物を張っていると、乗客が「今日は寒いね」と笑顔であいさつをしてくれるという。「自分たちの仕事はお客さまに笑顔になってもらうことだが、声をかけてもらい社員側も笑顔になっている」と話す。年齢や性別問わずいろいろな人が話しかけてくれる木次線を「いいな」と感じ、仕事の励みになっているという。

木次鉄道部は昨年も卒業と入学シーズンに合わせ、卒業生と新入生に向けたメッセージを掲示した。新入生へのメッセージでは、低速で外の景色が見やすいなどの魅力などを伝えた上で「(列車の乗り方など)わからないことがあれば遠慮なく聞いてください」と、生徒に寄り添った文章だった。

■ ♡卒業生からも手紙で返事

通学で利用する三刀屋高校2年の野中風花さん(16)は「Xの反響を見てすごいと思った。1年生の時から見ているので、卒業する来年が楽しみ」と話した。

木次鉄道部によると、2月28日朝、木次駅窓口に卒業生からの手書きの手紙が置いてあった。「木次線があったからこそ通学することができた」「なくてはならない大切なもの」と3年間の感謝が便箋2枚にわたり、つづられていたという。

「駅」には、鉄道の停車場だけでなく、「宿場」との意味もある。人が集まり、つながり合うかつての駅の姿がそこにある。

(まいどなニュース/山陰中央新報)

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