「地域が社会がよりよくなることが返礼です」 地域と猫のためのクラファン実施の保護団体 活動を絶やさないために伝えたいこと
奈良県大和高田市を拠点に猫のTNRや保護活動を行うたかだ地域猫ネットワーク』(以下、たかだ地域猫)。大和高田市と協働で地域猫たちのサポートを行っていますが、この活動は2014年、土井友加利さんが1人で始めたものでした。
小さい頃から猫好きだった土井さんは、当初子猫を育てケアするボランティアとして活動を始めました。その活動のなかで、生き場を失った地域猫たちの殺処分が横行している現実を知りました。それまでは「子猫を育てる」ということに専念していましたが、「猫が生まれてきても、生き続けることが普通のことではない」という今の日本の社会に強い疑問を感じたと言います。
以来、土井さんは「子猫を育てる」だけでなく、TNRの活動を決意。2016年以降は地元の大和高田市や市会議員などにもアプローチし、協力体制を整えより広く活動をするようになりました。
そこから8年。これまでに多くの地域猫にTNRを実施し、その命を支えてきた土井さんですが、ここまでの活動でどうしても避けられないリアルな問題にも直面したと言います。それは保護猫活動にかかる「お金」です。
■「運営にかかるお金」はいつも悩みの種
たかだ地域猫の運営費は他の保護団体同様に、その大半が「支援金」「募金」「譲渡金」などによって賄われています。こういった善意のお金を本当にありがたく運営費に使わせてもらっている一方、収入は不安定になりがちです。経済的な後ろ盾がなくスタートさせた、たかだ地域猫であればなおのことで、運営費はいつも悩みの種です。
たかだ地域猫の例をとると、1匹の保護猫の世話をするだけでも最低でも年間9万円は必要です。土井さんは善意の支援金などに加え、自身がアルバイトで得た収入の一部も活動費に充てていますが、仮にお金が枯渇した際は活動を継続できなくなるかもしれません。そのため、2023年よりNPO法人化を申請。より安定した運営費を得て、永続に活動を支援してもらえるような取り組みを始めました。
■「猫活」を次世代にもつないでいきたい
具体的にはNPO法人としてクラウドファンディングで継続的な「支援金」を募ることに加え、TNRも含めた保護費用、活動の応援費などの寄付を呼びかけ始めました。
土井さんは「正直、物品などで返せるものはない」としながらも、しかし行政も後手に回りがちな地域にかかわる猫たちの世話にかかるものです。ここは「地域がより良くなる」「社会がより良くなる」ことを「返礼」として考えれば、有意義な寄付になるように思います。
たかだ地域猫は、このNPO法人登録と積極的なクラウドファンディングの呼びかけをスタートさせることを機に「ねこの古都なら」と名称変更予定。「ねこのことなら」の「こと」を奈良の「古都」とし、より地域に根付いた猫の保護活動を目指す思いを込めています。
土井さんはこう語ります。
「これまでもたかだ地域猫では多くの方々に活動を支えていただきました。今後もこの活動を継続していくため、または、私が参加できなくなったときのことを考えて、この度NPOを設立しました。永続的に地域猫にかかわる活動を支援していただける体制づくりと、未来の保護猫ボランティアさんたちのために今は全力を注いでいます。『猫活』に関する参加のハードルを下げ、次世代にバトンを繋げられるようにする意味もあり、またそれは私が願うことです。小さな命を助け続けていくためにも、どうかご注目いただき、サポートをしてただければ幸いです」
ねこの古都なら・クラウドファンディング
https://readyfor.jp/projects/nekonokotonara
たかだ地域猫ネットワーク
https://takadaneko.hp.peraichi.com/
(まいどなニュース特約・松田 義人)