「もらっていってください!!」酒かす巡り造り酒屋が悲鳴 昨年の猛暑で急増「このままだとかなり捨てなきゃ…」
酒粕の処理に悪戦苦闘する造り酒屋の投稿がX上で大きな注目を集めている。(現在、酒粕の無料配布は終了しています)
「酒粕いっぱいあるなぁと思ったら、今年はレベチらしい…。
このままだと、かなり捨てなきゃかもって言われたので
そんなのもったいないから、もらっていってください!!
来店で、『ご自由にお持ち帰りください』ってことでお願いします
とりあえず酒粕まだ3トン出るしいから…(・・;」
と投稿したのは新潟県上越市の竹田酒造店のXアカウント(@katafune1866)。
竹田酒造店では例年4トンから5トンの酒粕が出るという。それだけでも膨大な量だが今年はそれをはるかに上回る酒粕が出てしまい、かつ漬物業者など大口の引き取り手もあらわれず処分に困っているということだ。
今回の投稿に対し、Xユーザー達からは
「あー。近くだったら絶対貰いに行きたかったです。酒粕で作った甘酒と粕汁飲みたいな。」
「大量消費できる小中学校の給食や病院食に取り入れていただいて、アルコールを飛ばした酒粕入りお味噌汁や甘酒として供されたら、健康増進の大役担えそうですね。」
など数々のコメントが。
また同じ新潟の宝山酒造のアカウントからも
「どこもみんな酒粕ぅ…余って大変なのね
かたふねさんでも蔵まで行けば貰えるってよ!!!」
という同情の声が上がっていた。
■投稿した蔵元に聞いた
竹田酒造店の十代目蔵元、竹田春毅さんにお話を聞いた。
ーー今年、酒粕が多く出た理由は?
竹田:昨年夏の猛暑により、米が硬く溶けにくいものになったためです。例年の3割増しくらいで酒粕が生成されていて、過去に例を見ない量だということです。
ーー例年は酒粕をどのように処理していますか?
竹田:例年は酒粕を地域に販売したり、得意先に配ったりしています。また、夏ごろには練り粕にして漬物用として販売します。それでも売り切れない場合は廃棄しています。
年によりますが、1トン近く廃棄せざるを得ない年もありました。
ーー投稿後、酒粕の引き取り手は?
竹田:地域の方、遠方の方などが多く来店されてお配りしました。おかげさまで、毎日600キロほど出ていた酒粕が、その日の午前中でほぼなくなる状態となり、ありがたい限りです。
ーーオススメの利用方法は?
竹田:粕汁や甘酒に使っていただくのがスタンダードだと思いますが、味噌汁の中に入れたり(コクアップ)、酒粕を同量の水で鍋にかけてペースト状にしておき、ラーメンのトッピングにしたりするのもいいです。個人的にはペーストをアイスの上にのせて混ぜながら食べるのがいちおしです。
ーー反響へのご感想を。
竹田:予想以上の反響に驚くとともに、酒粕への需要の高さも改めて知ることができました。酒粕は「農家の米と酒蔵の酒のいいとこどり」と思うので、もっと多くの方に酒粕の魅力を知ってもらいたいです。
◇ ◇
近年、日本酒の製造に関連し年間約1800トンの酒粕が産業廃棄物として廃棄されてしまっているそうだ。美味しく栄養たっぷりの酒粕を無駄なく活用する方法が確立されればいいのだが。
なお今回の話題を提供してくれた竹田酒造店は規模は小さいものの、それゆえできる丁寧な酒造りで知られ、代表銘柄「かたふね」をはじめ日本酒ファンから大きな支持を得ている。世界的コンクール「IWC」で部門第1位を3度も受賞するその味わいを、ぜひ多くの人に体験いただきたい。
竹田酒造店関連情報
本社所在地:新潟県上越市大潟区上小船津浜171
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)