保護されたガリガリの子猫 猫エイズとFIPを患っていた 繰り返されるけいれん発作に増す不安 スタッフは奇跡を信じ続ける
奈良県大和高田市を拠点に、猫の保護・譲渡に取り組む、たかだ地域猫ネットワーク(以下、たかだ地域猫)。2023年、同団体が保護した1匹のイケメン猫がいました。その名は「悟空」。
それまではとある民家からご飯をもらいながら地域猫として過ごしてきましたが、どうも体が弱っている様子。しかし、ご飯をあげていた方は「家に入れる気はない」と言い、そのためたかだ地域猫が保護することになったというわけです。
■猫エイズ陽性だったが、なぜ痩せているかは不明
保護時の悟空ちゃんは確かに弱っており、ガリガリに痩せ細っていました。
病的に痩せているようにも映ったため、すぐに動物病院に連れていき診断すると、まず猫エイズウイルスに感染していることがわかりました。
猫エイズとはFIVというウイルスが原因で猫が免疫不全になる感染症の一つ。免疫機能が落ちることで、発症するとさまざまな症状を起こします。ただ、猫エイズウイルスの発症は10~15年かかるという説もあり、感染していたとしても発症せぬまま天寿を全うすることも多いです。また、猫エイズウイルスは人間に感染することもなく、つまり発症さえしなければ普通の猫とほとんど変わらない生活をおくることができます。
しかし、どうもこの猫エイズが悟空ちゃんが痩せている原因ではない様子。スタッフはしばらく栄養価の高いご飯をあげながらお世話を続けることにしました。
■FIP(猫伝染性腹膜炎)も患っていた
最初の保護から数日後、突然悟空くんが痙攣発作を起こしました。
眼振や頭の揺れが止まらない様子で、スタッフは慌てて動物病院へと連れていき発作止めの注射を打ってもらいました。後日より細かい検査を実施したところ、猫エイズウイルス感染に加え、FIP(猫伝染性腹膜炎)も患っていることがわかりました。
FIPとは、多くは1歳未満の子猫で発症する致死性の高い疾患です。食欲不振、活動性の低下、発熱、体重減少などの症状が起こり発症から数日~1カ月以内に死ぬこともあります。近年では有効な治療薬が開発され生存率が上がりましたが、それでも心配であることには変わりがありません。スタッフはより慎重に悟空くんのお世話をし続けることにしました。
■もう一踏ん張りがんばってもらい克服してほしい
以降も悟空くんはたびたび痙攣発作を起こしました。
そのたびに投薬や入退院を繰り返す日々で、悟空くんの様子を見るだけで胸が締め付けられるスタッフでした。また、悟空くんが発作を起こす間隔がだんだん短くなってきており、不安をぬぐうことができません。
あの日保護されないままそのまま放置されていたら確実に失っていたであろう小さな命。なんとかここまで生き抜いてこれたのだから悟空くんにはここでもう一踏ん張りがんばってもらい、なんとかFIPを克服してほしいと願うばかりです。
たかだ地域猫ネットワーク
https://takadaneko.hp.peraichi.com/
(まいどなニュース特約・松田 義人)