僕のずっとのお家はどこ? 右後脚の壊死で3本脚になった黒猫 一度は家庭に迎えられたが…5年後に保護団体に帰ってきた
まん丸のフォルムがかわいい黒猫のバロンくん。推定10歳以上のオスですが、今から6年ほど前、奈良県の学生さんが地元で保護団体に「地元に脚をけがしている猫がいるので、保護してくれませんか」と相談。その団体が引き取ることにした猫でした。
話の通り、当初のバロンくんはの右後脚が全く動いていない様子。交通事故なのか、虐待なのか、原因は不明ですが、スタッフは保護した後、動物病院へと連れていきました。診断によると、右後脚はすでに壊死しており、やむを得ず断脚手術に踏み切り、3本脚になりました。
■一度は幸せな生活をおくることができたが…
術後の経過は芳しいものではありませんでした。そのため、当初保護した団体は、懇意の別団体、たかだ地域猫ネットワーク(以下、たかだ地域猫)にお世話してもらうほうがより良いだろうと、バロンくんのお世話を依頼。以降はたかだ地域猫のスタッフがバロンくんの世話を続けました。バロンくんが健康を取り戻すまで半年以上の時間を要しましたが、それでもスタッフの献身的なケアのおかげで後に元気になってくれました。
他方、バロンくんは、とにかくおっとりした性格で人間にもすぐに心を許すお利口さん。そのため、この間のケアと並行して里親募集を呼びかけていました。
すると、程なくして「バロンくんを迎え入れたい」という里親希望者さんが現れ、一定期間のトライアルを経て正式譲渡に。これまで心身ともに辛い生活を強いられてきたバロンくんへのご褒美だとスタッフはおおいに喜び、巣立っていく後ろ姿を見送りました。
後日、バロンくんを迎え入れた里親さんは、「3本脚でも器用に動き回り、家では楽しそうに暮らしています」「先住猫ともきょうだいのように仲良しですよ」と報告してくれました。
■「バロンくんとずっと生活できるかわからない」
しかし、再びバロンくんに転機が訪れます。
5年の月日が経過したある日のこと、バロンくんの里親さんからたかだ地域猫に連絡がありました。聞けば、やむを得ない事情から里親さんの家庭環境が大きく変わり「今後バロンくんとずっと生活できるかどうかわからない」と言います。
この里親さんのもとで、バロンくんはその猫生をまっとうするのだろうと思っていたスタッフは驚きましたが、結果的にはバロンくんはこの家から再びたかだ地域猫へと舞い戻ってくることになりました。
スタッフは久しぶりにバロンくんに会いました。
あの日巣立っていたときと変わらず優しい性格のままで、スタッフが休んで寝転んでいると「オバサン、疲れちゃったの?」とお腹に乗ってきてくれることも。「なんて良い子なの」と喜ぶスタッフでしたが、よく考えてみるとバロンくんがすり寄ってきてくれる時間帯がいつも同じ。
実はスタッフを労うというより「僕、お腹が空いたんすよねー」と言いに来ているだけだった、というオチャメな様子も見せるかわいいバロンくんでした。
■バロンくんに2度目の里親募集を開始!
たかだ地域猫では、こんなバロンくんの2度目の里親募集をかけることにしました。すでにおじいちゃん猫の域に入ったバロンくんですが、3本脚というハンデ以外は全く問題がありません。よく食べ、よく遊び、そして思いっきり甘えん坊な性格なので、家を留守にする時間が少ない家庭が望ましいとスタッフは言います。
こんなにかわいいバロンくんに、今度こそ「ずっとのお家」が1日も早く見つかることを願うばかりです。
たかだ地域猫ネットワーク
https://takadaneko.hp.peraichi.com/
(まいどなニュース特約・松田 義人)