22万人注目のTikToker山田飛鳥。さんが恋愛エッセイ「この恋の結末は私が決める」現代の恋愛指南本

デートにはどんな服を着ていけばいいの?どうしてLINEの返事をしてくれないの?など。SNS登場以前には無かった問題に頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。

そんな恋に悩む人々に大人気のTikTokerである山田飛鳥。さんの、初書籍『この恋の結末は私が決める』(KADOKAWA)が3月19日に発売になりました。本の使い方や、これからの恋愛について、山田飛鳥。さんに、お話を聞きました。

--出版依頼が来た時の心境はどんなお気持ちでしたか?

山田さん:TikTokに「若いうちに知っておいたほうがいいこと」を投稿し始めてまだ半年しか経っていないので、驚きました。いざ自分にそういうことが起こると、まだ自分には早いんじゃないかと思って少し怖くなってしまいました。普段はカメラマンやキーボディストとして働いているのに、急に著者になってしまうので。

-- 口語というか、普段の山田さんの動画をそのまま書き起こした感じですね。

山田さん:口語体の方が自分らしいかなと。すでに山田飛鳥。を知っている人が手に取って、ああ山田飛鳥。が書いてるんだとしっくりくるように動画と同じような口語にしました。ジャンルはエッセイなのですが、恋愛指南本というか、How to本のような仕組みになっています。

--制作にあたって、大変だったことはありますか?

山田さん:動画と被らないように気を付けました。目次はKADOKAWAさんが決めてくださったので、それに答えていく形で制作していったのですが、動画と同じことを言っていては書籍としての旨味が無いですよね。動画と同じ質問でも、かなり掘り下げた内容になっています。アドリブも多くて、昔の動画とは全く違うことを書いているのかもしれません(笑)。

--エッセイとは謳いつつ、“二度目のデートは水族館に行きましょう“など、実用書のような具体的な指示が書いてありますね。

山田さん:恋愛エッセイって山ほど発売されてるんですよ。自分を見つめなおしましょうとか、前を向きましょうとか。でも抽象的でエモいのは、僕はあまり好きじゃなくて。経験を濁して書いてあるだけで良くわからない。最近の若者って、こうしなさい!て言われた方が分かりやすいと思うんですよね。だから動画配信と同じく、具体的なアクションを提案して、他の恋愛エッセイとの差別化を図りました。

--どこに一番注目してほしいですか?

山田さん:“はじめに”ですね。

ここを読んで合わない!と思ったら、もう合わない。SNSから見える他人の恋愛はダイジェスト版なので羨ましく思っても仕方ないってことです。この本の要点が、実は最初に詰まっているんです。

--プロローグの“みなさんが自力で恋愛をできるようになってほしい”という文章も印象的です。

山田さん:質問のDMが来て、返信して、それがきっかけで付き合えたカップルって沢山いるんですよ。でも僕が忙しくなってDMの返信を全員にできなくなったら、別れるカップルも多くて、捨てられちゃう。ただの相手越しに見える山田飛鳥と付き合っていただけ、ということですよね。それでは何の意味も無いので。

だから、具体的な指示は書いてあるのですが、最後の一手までは書きませんでした。一文に対して、自分で二、三文補足しないと分からないはずです。自力で打開策を見つけないといけないんです。自分で考えてもらうために、あえて答えになるような文章を消したりもしました。だから実用書、How to本より、問題集に近いかもしれません。

--これからの恋愛はどのように変化していくと思いますか?

山田:スマホの登場で、全ての選択肢において取捨選択がしやすくなりましたよね。付き合うべきか否かとか。ネットで調べれば、オススメデートスポットや、言われたい言葉や、こういう男はやめとけ、みたいな、みんなが思っていることが大体分かるようになってしまった。この知的好奇心って女性の方が強い気がするんです。男性は、いかに手っ取り早く落とせるか、みたいなことは調べるんですが、真剣な恋愛のための情報戦って女性ばかりが強くなっていくイメージです。

ただ、人をダメにする技術もどんどん発達して簡単に浮気ができるようになった現代。別れた方がいいのに離れられない自分、てなった時に、まわりに責任を委ねるようになると思うんですよ。ネットやSNSの意見や、こんな恋愛エッセイのせいにしちゃう。それらに依存した、自分の意志の無い恋愛が増えるでしょうね。

でも感情的にはなるから、突然思ってもみないポイントで暴走したり爆発したり。それがスマホで記録されてSNSで暴露されて炎上、なんかも増えていて、男性が痛い目に合う世の中になってきたんじゃないでしょうか。

--未婚率が年々上がっています。恋愛未経験のまま、一歩を踏み出せず悩んでいる人も多のではないでしょうか。山田さんから、今から婚活や恋愛をやってみよう!と思っている人にアドバイスはありますか?

山田さん:似た境遇の人を探せば良いと思います。欲望のままにではなく、あまり経験が無い人は、あまり経験の無い人と付き合う。そこでお互いが成長できればハッピーですよね。マッチングアプリで似たような年齢層や境遇を探すとか。まず正直に「自分は何も恋愛経験が無いんです」って言えるかどうかが決め手になると思います。相手のことを想って誠心誠意、自己開示できるか、プライドが邪魔して言えないのか。その場面にならないと自分がどっち側の人間なのかも分からないと思うので。

--ありがとうございます。では最後に、読者へのメッセージをお願いします。

山田:読めば、山田飛鳥。と同じ考え方ができるようになりますよ、ってことです。断定しない思考。この場面では別れるべき、浮気は悪い、などの一般的に正しいとされてきたルールではなく、状況によって目の前の相手と将来のことを決めていく。状況と事実と相手の気持ちと自分の気持ち冷静に見て、自分たちで決めていけるように考える力を身に着けてもらいたいです。

◇  ◇ ◇

ネットやSNSには、駆け引きや気持ちを揺さぶる方法など恋愛のための技術が溢れています。恋愛には不安感が付き物ですが、他の学問と同じように、勉強して知識を付ければ解消できることも増えてきたのではないでしょうか。運命を待ちトキメキに従い感情のまま、恋に身を任せる時代は終わってしまったのかもしれません。運動が苦手、数学が苦手、と同じように恋愛が苦手な人々に向けての問題集。これからの恋愛に向けて、手放せない一冊になりそうです。

(まいどなニュース特約・ゆきほ)

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