シャンプー容器の「ギザギザ」なぜ付いているの? 「他のメーカーも真似してほしいな」とある企業の“決断”がきっかけに

花王のシャンプー容器のデザインに込められた配慮がSNS上で大きな注目を集めている。

「目を閉じたままでもシャンプーが解るように、花王様がシャンプーの側面に突起を付けたんですよね。で、その後、他のメーカーも真似して欲しいから特許を取得しなかったですよ。その結果、ユニバーサルデザインは普及したんですよね。こういう理念を持つ企業様、本当に賞賛されて欲しいと思います。」

と件のデザインを紹介したのは大阪公立大学医学部リハビリテーション学科作業療法学専攻教授の竹林崇さん(@takshi_77)。

花王のシャンプー容器の側面にあるギザギザ状のきざみ。このきざみは「シャンプーとリンスの容器が同じで紛らわしい」という消費者からの声にこたえ、1991年からつけられているもの。これがあれば目の不自由な人でも触っただけで容易にシャンプーとリンスを区別というわけだ。すべての消費者に快適に商品を利用してほしいという花王の温かな配慮に対し、SNSユーザー達からは

「儲け主義の企業さんが多い中、使う方の身になったことをしてくれる企業さんもあることにほっこりいたしました」

「似た事例だと3点式シートベルトのボルボ、QRコードのデンソーなんかがありますね。どちらも特許の取得はしましたが、広く使ってもらうために技術は公開しました」

「ボトル製造までやってる大手しかなく、最近のドラッグストアに流通するどこのメーカー?みたいなのは大半ついてないですね」

「助かりますね さらに言うと誰が見てもシャンプー、コンディショナーパッと分かりやすいようにしてほしいですね♡ 目を開けてても分かりにくいデザインが多くて」

など数々の声が寄せられている。竹林さんにお話を聞いた。

ーー花王の容器についてお知りになった経緯、ご感想をあらためてお聞かせください。

竹林:花王様はユニバーサルデザインに対し、真摯に取り組んでおられるのは、何かの媒体で企業情報を拝見した際から知っていました。このシャンプーだけでなく、アタックの液体洗剤の容器や押しやすいスプレーなど多くの製品を手掛けておられます。ただ、売れる商品を作るだけでなく、多くの方の生活を豊かにしようという理念を持ってらっしゃる社風が好きになり、何かあれば商品を選ぶようになりました。

ーー世間の商品デザインに期待したいことなどお聞かせください。

竹林:何か問題を抱えてらっしゃる人に寄り添い解決するデザインは、結局一般の方々にとっても人生を豊かにしてくれるものだと思います。そういった視点を持ちつつ、万人にとって便利な道具を作っていただきたいなと思います。

ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。

竹林:この話はかなり古い部類かつ、皆さんもご存知な逸話だと思っていたのですが、「初めて聞いた」とおっしゃる方がおられました。

   ◇   ◇

ご存じなかったという方はぜひ一度花王のシャンプー容器を手に取っていただきたい。

なお今回の話題を提供してくれた竹林さんは脳卒中後の手に生じる麻痺を改善するための治療法を開発中。関心のある方はぜひ各種SNSで情報をチェックしていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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