SUVはなぜこんなに人気なのか 高い実用性とデザイン性…選び方のポイントは
SUVは高い走行性とデザイン性で長年人気のあるボディタイプです。アウトドアや家族の送迎など様々な用途に利用できます。しかし、なぜここまで注目が集まっているのでしょうか。選び方や話題の車種などを解説します。
■SUVとは
SUVはSport Utility Vehicleの略で、「エス・ユー・ヴイ」と呼ばれます。ミニバンやセダンと同じクルマのボディタイプの一つです。
日本語では「スポーツ用多目的車」と訳されますが、用途はスポーツやアウトドアに限りません。「多目的車」とあるように、家族の送迎や通勤など、様々な目的に利用できます。
▽SUVはなぜここまで人気に?
現在のSUVブームは、北米では1990年代から、日本でも2000年代から続いています。SUVがこれだけ人気なのは、主に以下の2つの理由からです。
・実用性が高い
・デザイン性が高い
SUVは雪道や舗装されていない道などの悪路に強いです。また荷物を多く積むことができ、車高が高いため視界も広く保てます。さらに見た目の野暮ったさがなく、使い勝手とデザイン性の高さを両立している点が大きな魅力です。
■SUVの特徴3つ
SUVにはボディタイプとしての厳密な定義がなく、種類も様々です。ここでは一般的なSUVの特徴を3つご紹介します。
▽特徴① 雪道や山道などの悪路に強い
SUVの形状に関する最大の特徴は、「最低地上高」の高さです。
最低地上高とは、地面から車体の最も低い部分までの高さを指します。SUVはこの最低地上高が他のボディタイプに比べて高いため、雪道や凹凸のある道も走りやすいです。
さらにSUVでは、力強い走行や停止が可能な4WD車を揃えている車種が多いです。そのため降雪地域や山間部に住む人に向いています。
▽特徴② 走行性が高く、安定感もある
SUVは砂利道のようなオフロードと、市街地走行の両方に対応できるクルマが多いです。またコンパクトカーなどに比べると車重が重く、その分だけ走行に安定感もあります。
車種によっては完全にオフロード向きで市街地走行が苦手なSUVや、車重が重いばかりに燃費の悪いSUVもあります。しかし現在ではオフロード走行と市街地走行のバランスを取ったSUVや、低燃費なハイブリッドSUVも多いです。
▽特徴③ 荷物を多く積める
SUVは元々アウトドアを意識したクルマということもあり、荷室が広いです。積載性はミニバンほどでないものの、セダンやステーションワゴンに比べて高さもあり、大量の荷物を積むことができます。
▽【注意】乗降性は高くない
SUVは構造上の問題から、スライドドアの搭載車種がありません。また最低地上高が高く、小さな子どもにとっては乗り降りしにくいです。
高齢者では、「乗りにくい」という意見も「座面が高くて乗りやすい」という意見もあります。同乗者の乗降性が気になる場合は、お店で乗り降りを体験させてもらいましょう。
■SUVの分類
SUVには、以下のように軽自動車やコンパクトカーサイズのものから3列シート7人乗りのものまで幅広いサイズの選択肢があります。
【軽】
乗車定員:4人
全長の目安:3.4m以下
車種例:ジムニー/ハスラー/タフト
【コンパクト】
乗車定員:5人
全長の目安:約4.4m以下
車種例:ライズ/ヴェゼル/ヤリスクロス
【ミドルサイズ】
乗車定員:5~7人
全長の目安:約4.4m~5.0m未満
車種例:ハリアー/CX-5/エクストレイル
【フルサイズ】
乗車定員:5~7人
全長の目安:約5.0m以上
車種例:ランドクルーザー/CX-8/LX
◇ ◇
▽軽SUV
軽SUVは、厳密に言えば軽自動車の一種です。乗車定員は4人ですが、車両価格も維持費も安く、「低コストでデザイン重視」という人にお勧めします。
種類はスズキ「ジムニー」「ハスラー」とダイハツ「タフト」の3種類に限られます。このうちジムニーのみが本格オフローダーで、他の2車種は適度なオフロード性を有しながらも街乗り中心のモデルです。
◇ ◇
▽コンパクトSUV
「小さめで、且つちょっとしたアウトドアに使いたい」という場合におすすめのサイズです。都市型SUVと呼ばれる、街乗り中心を前提としたSUVが大半を占めます。
洗練されたデザインで比較的軽量な車種が多く、ハイブリッド車なら燃費もある程度期待できます。日常使いを中心に考えている人や、都市部に住んでいる人はこのサイズを選ぶと良いでしょう。
◇ ◇
▽ミドルサイズSUV
アウトドアを好む人におすすめなのが、ミドルサイズです。街乗り中心のモデルでも最低地上高が高めで、オフロード性能の高い車種が多いです。また車種によっては3列シートを搭載しています。
オフロード性能が高くなる一方で、車両価格や維持費もサイズの小さいクルマより高くなります。購入予算や家計とのバランスも考慮して選びましょう。
◇ ◇
▽フルサイズSUV
全長5m前後、全幅1.8m以上とかなり大きめのSUVです。「7人乗りでどうしてもSUVが良い」「迫力や存在感のあるクルマが良い」という人にお勧めします。
ただし車両価格が高く、燃費も一般に良くありません。またSUVの3列目にミニバンのような快適さは求められないので、普段から3列シートを使う場合は実物を見た上でよく検討しましょう。
◇ ◇
▽【豆知識】構造による分類もある
SUVはサイズによる分類の他に、構造による分類で「クロスカントリー」と「クロスオーバー」に分けられます。
クロスカントリーはオフロード走行を中心としたSUVで、最低地上高がかなり高いです。乗り心地は硬く、燃費も良くありません。「カクカクした」外観が特徴です。
一方クロスオーバーは街乗りを中心としています。オフロード性能はクロスカントリーに劣りますが、燃費や実用性といった点で普段使いに向いています。
■SUVの選び方のポイント
長年にわたり人気の高いSUVですが、人気だからこそ選択肢は多いです。ここではSUVの選び方のポイントを3つご紹介します。
▽ポイント① サイズを選ぶ
ボディサイズは使い勝手に直結する部分です。小さいと乗車定員や積載性が限られる一方、大きすぎると運転しにくくなり、維持費も高い傾向があります。乗車人数や載せたい荷物の内容、自宅の駐車スペース、よく利用する道の広さも考えて、サイズを選びましょう。
▽ポイント②求める走行性能を考える
趣味中心でオフロード走行に特化したクルマが欲しい場合はクロスカントリーSUV、普段使いを中心で考えるならクロスオーバーSUVを選びましょう。
クロスオーバーSUVでも、現在は2WDと4WDを選べることが多いです。2WDの方が安価ですが、4WDの方がグリップ性能が高く、雪道などにも対応します。アウトドアに使う場合や、降雪の多い地域に住んでいる人は、4WD車を選ぶと良いでしょう。
▽ポイント③デザインを考える
SUVでは、エクストレイルやランドクルーザーのように力強さを押し出した印象のものや、CX-5やハリアーのように上品な印象に仕上げたものなど多くのデザインがあります。デザイン性が高いクルマだからこそ、自分好みのデザインを選びましょう。
ただし購入したクルマを「何年乗るつもりか」考えることも重要です。例えば新車を買って10年以上乗るつもりなら、将来的に好みが変わっている可能性もあります。
(まいどなニュース/norico)