調剤薬局の待ち時間「なぜ、そんなに時間がかかる?」その理由に→「こんな事も!知らなかった」「薬剤師さん重労働だわ」
病院で処方箋をもらって、調剤薬局で薬を受け取ることが多くなりましたが、「待ち時間が長い」と受付で詰め寄っている患者さんの姿を見かけることがあります。
そんな中、「待合室で流して欲しいというコメントが殺到した軟膏をつくる衝撃の動画」というコメントともに、薬剤師の中野昇さん(@sho_molth)がX(旧Twitter)へ投稿した動画が話題となりました。
この動画は、調剤薬局で「青い蓋の容器に入った軟膏」を準備する過程を撮影したものですが、合わせる薬剤をそれぞれ計り取り、軟膏板の上で特殊な混ぜ方で丁寧に合わせていく様子は、まるでお菓子をつくっているようにも見えます。
「え?その場でつくってたんだ、びっくり」
「1個1個手づくりだったの?薬剤師さんいつもありがとう」
「青い蓋の容器に詰め替えてるだけかと思っていたけど、手づくりだったのか…。
「開けた時の見栄え綺麗だから機械かな?と思ってた」
「軟膏混合と粉薬と水薬が出る子どもの処方はめちゃくちゃ時間かかるぞ、でもそりゃそうだよね!」
処方箋に合わせて、その場で手づくりされていることに驚いた人たちからコメントがずらり!
「これは薬剤師さんしか出来ない作業なので、「軟膏MIX入りま~す」=薬剤師一人投薬から外れまーすって事で、他の来局者の待ち時間も長くなるのよ」
「組み合わせによっては機械じゃ混ざらないのもあるから結局軟膏板とヘラで手混ぜするやつは時間掛かるんよね。そもそもチューブ5本10本絞り出すだけでも時間掛かるんや!」
さらには、処方箋薬局に精通されている方からのコメントも登場。
「もう、待合室でじりじりしません」
「調剤長いと感じた事があるが、こりゃ時間かかるし仕方がないね」
「医療従事者に更なるリスペクト」
「待合室でこういう動画流してほしいわ」
「みんなに見て欲しい。そりゃ時間かかるって」
この軟膏を調剤している動画を薬局の待合スペースに流してほしいという声、理由を知って納得した方の意見も多数集まりました。
「作り置き出来ないんですか?」というコメントもありましたが、なぜこんなアナログな方法で、その都度つくられているのか、さらに詳しく中野昇さんにお伺いしました!
■チューブ入りじゃない軟膏、実は手作りのオーダーメイド!
ーー反響がすごいですね!調剤薬局で処方される軟膏は、こうした作り方が一般的なのですか?
「処方するドクターによって配分や量が違ってくるので、言わばこういったオーダーメイドになります。また、場合によっては配合してはいけない組み合わせなどもあるので、そこもきちんと確認しています」
ーー単に混ぜ合わせるだけではないんですね。手作業以外の方法はないんですか?
「軟膏を自動で混ぜる機械もありますが、機械が高価なので導入していない店舗もあるかと。近くに皮膚科がある薬局でしたらほとんどありますが、あまり軟膏の処方が来ない立地の調剤薬局でしたら、ないところが多いかと思いますよ」
ーーなるほど。大体、軟膏を作るのにどれぐらいの時間がかかるんですか?
「軟膏を作るとき、多くて3種類ほどの薬剤を混ぜることがあり、ものによっては硬い軟膏があったり、機械が使えないものがあります。そうなると、機械がある薬局でも手作業で行うしかありません。機械を使用できるか、混ぜる種類と量にもよりますが、手動で2種類の軟膏を混ぜるとしたら、大体10分~15分程度は掛かると思いますね」
ーー思っているより結構時間がかかる印象です!一人の患者さんが2種類の軟膏を処方されたとなると……30分!
「そうですね、コツというほどのものはなく慣れるしかない作業で、慣れていても時間は掛かりますから、処方に時間が掛かる場合は、受付された段階で、あらかじめお待たせすることをお伝えするようにしています」
■あなたの処方された薬、それもオーダーメイドかも?!
ーーほかにも、その都度手作業でつくる薬はありますか?
「水剤といって子ども用のシロップなども、手作業となります。ほかにも、複数の薬を飲むタイミングごとに一つにまとめる『一包化』や『粉薬』も患者さんの処方箋ごとにつくるオーダーメイドなので、時間が掛かる作業です」
ーーそんなにオーダーメイドとなる薬があるとは!薬剤師の方は大忙しですね。待ち時間があることも納得です
「薬局が空いているように見えても、すでに処方箋がたくさん届いていたり、待合室で待たずに外出されている患者さんも多かったり。ですから、待っている人が少ないのに『えらく待たされる』と思っている方もいらっしゃると思うんですが、状況によってお待ちいただく時間が変わるので、ご理解いただけると嬉しいです」
丁寧にオーダーメイドで薬をつくってくださる薬剤師の方々に、イライラせずに待って「ありがとう」を伝えたいものです。
中野さんはXへの投稿に加え、市販薬を選ぶときに参考になるブログやYouTubeも配信中。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・東寺 月子)