炎天下 屋根が抜け落ちた家は屋外同然 飼い猫は命を落とし愛犬は熱中症状態に 「助けてください」保護団体にSOS
2023年8月、愛知県を拠点に行き場を失った犬の保護・譲渡活動を行う団体SORA小さな命を救う会(以下、SORA)にある相談が寄せられました。
3人家族で暮らす20歳くらいの女性からでした。祖父、叔父、複数の犬と猫と暮らしていたところ、突然自宅の屋根が抜け落ち、生活がままならなくなったそうです。8月の炎天下の中で、屋外同然となった家で暮らし続けることは難しく早急に家族全員の新しい居住場所を探す必要がありました。
3人はなんとか県営住宅に入居することが決まりましたが、県営住宅では犬と猫と一緒に暮らすことはできません。飼っていた犬のうち小型犬は保護してくれるところが見つかりましたが、3歳ほどの柴犬のはづきちゃんと猫は行き場を失うこととなり、猫は熱中症で死んでしまったそうです。このままで、はづきちゃんも熱中症になったりして命を落とす可能性が高いため「助けてもらえませんか」というすがるような相談でした。
SORAのスタッフは迷わず保護を決断。現場へ向かいました。
■別れ際、飼い主は何度も柴犬の頭を撫でた
スタッフは相談者の女性に立ち会ってもらいながら、その屋根が抜け落ちた家に訪れました。そこにいたはづきちゃんは熱中症気味で目もうつろ。早急なケアが必要な状況でした。
スタッフは相談者の女性に「飼育放棄書」を記入してもらった後、SORAの施設へとはづきちゃんを連れて帰ることにしました。お別れの際、相談者の女性は何度もはづきちゃんの頭をなでていました。最後までスタッフにお礼を言い、それを受けたスタッフも胸が熱くなりました。
■はづきちゃんが笑顔を見せてくれるようになった
保護後スタッフはまず動物病院へとはづきちゃんを連れていきました。獣医さんによれば熱中症などの影響もあってか疲労困憊の様子とのこと。さらにフィラリア陽性も確認されたため、スタッフと獣医さんは協力し、今後はづきちゃんの医療ケアを進めることになりました。
SORAの施設に迎え入れられたはづきちゃんは当初、新しい環境やスタッフたちを警戒し、不安そうな表情でしたが、少しずつ心を開いてくれるようになり、後にはスタッフにも懐いてくれました。体の状態日に日に健康に向かいつつありました。
■病状から見て、便宜上実年齢より高めにして里親募集中
相談者の女性によれば、もともと2年ほど前のクリスマスにペットショップで「生後4カ月ほど」として売れ残っていたはづきちゃんを買ったそうです。3歳ほどですが、SORAでの後の里親募集では実年齢よりも健康状態がかんばしくないことから便宜上「3~6歳」として呼びかけることになりました。
波瀾万丈な犬生をおくり、大好きだったであろう飼い主さんともやむを得ず離ればなれとなってしまったはづきちゃん。幸せな第二の犬生へと導いてくれる優しい里親希望者さんとの出会いを今日も待ち続けています。
一般社団法人SORA小さな命を救う会
https://sora-chiisana.org/
(まいどなニュース特約・松田 義人)