「君に嫉妬していた」「最高の人形でおりたかった」…10分ノーカットの静かな迫力 『ブギウギ』最終回直前、羽鳥とスズ子が語り合う“深い絆”
いよいよ明日最終回をむかえる『ブギウギ』(NHK総合)。本日3月28日に放送された125回は、スズ子(趣里)と羽鳥(草彅剛)の対話シーンが圧巻だった。
スズ子は羽鳥に思いを伝えられないまま引退記者会見まで開いてしまったため、心にしこりが残ったままだ。対する羽鳥も同じ思いだったようで、2人は差し向かいでこれまでの互いへの思いと感謝を伝え合うのだった。
「僕は、いつしか君に嫉妬していたんです」
「福来くん、今まで僕を楽しませてくれて本当にありがとう。羽鳥善一という作曲家を作ってくれたのは、まぎれもなく君です」
「ワテはいつまでも先生の最高の人形でおりたかったんです」
「せやけどそうでないんは、ワテがいちばんようわかってます」
互いに自分のことを「しょうもない」と自嘲する2人の、切なる思いが胸に迫る。そしてこの「対話」から、羽鳥善一と福来スズ子の、他者には介入できない特別な関係がみずみずしく、立体的に浮かび上がってきた。このシーンについて、制作統括の福岡利武さんに聞いた。
■狙って書いたのではなく、自然にあふれ出てきた台詞
「ここは羽鳥善一と福来スズ子の思いの集大成であり、脚本家・足立紳さんの思いの集大成と言っていいと思います。このシーンの2人の台詞を書くにあたっては、足立さんが狙って書いたというよりは、自然にあふれ出てきたのではないかと。これまでの2人の関係性と、それぞれの半生の積み重ねから生まれた言葉なのだと感じます。2人が互いの関係をふり返り、『嫉妬していた』『最高の人形でおりたかった』という偽らざる気持ちに気づくというところが、なんとも深いと思いました」
アバンタイトルとOPの後、エンドカードが映るまでの間、約10分以上にもわたるこのシーンは、ワンカット長回しによる撮影だったという。
■スタジオは静かな緊張感に包まれ…
「スタジオがとても静かな緊張感に包まれていたのが印象的でした。カメラが回る前、趣里さんも草彅さんも、静かに本番への思いを高めていらっしゃるという感じで。本番では、お2人の中から自然とこみ上げてくる感情の『うねり』と、お互いのキャッチボールが圧巻でした。『羽鳥・福来コンビ』の終わりを描く25週と最終週にかけて、草彅さんはとても気合が入っていらっしゃいました。台本を深く深く読み込んで、『全てをかけてやりますね』とおっしゃってくださいました」
「最後にもう一度だけ、こんなどうしようもない僕と遊んでくれないか」という羽鳥の提案により、明日の最終回ではスズ子の「さよならコンサート」が開かれる。はたしてスズ子は歌手として、どんな有終の美を飾るのだろうか。心して待ちたい。
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『ブギウギ』
【出演】趣里 水上恒司/草彅剛 蒼井優 菊地凛子 生瀬勝久 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【脚本】足立紳 櫻井剛
【音楽】服部隆之
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
【放送時間】
▽NHK総合
毎週月曜~土曜 前8:00~8:15/(再)後0:45~1:00(※土曜は一週間を振り返り)
毎週日曜(再)前11:00~11:15
翌・月曜(再)前4:45~5:00(※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送)
▽NHK BS・NHK BSプレミアム4K
毎週月曜~金曜 前7:30~7:45
毎週土曜(再)前9:25~10:40(※月曜~金曜分を一挙放送)
(まいどなニュース特約・佐野 華英)