美容室の定休日、2つの曜日に集中するのはなぜ? 戦後の名残、80年たっても消えず

 月曜日の昼下がり、神戸市内の商業施設で知り合いの美容師さんに偶然出くわしました。関西の美容室は月曜定休の店がほとんど。東京は火曜休みが多いのだとか。美容室の定休日はなぜ月曜、火曜に集中しているのか。業界団体に聞くと、理由は戦後のある出来事にまでさかのぼりました。

■電気パーマ流行、しかし電力が…

 全国の約7万店が加盟する美容室経営者の団体「全日本美容業生活衛生同業組合連合会」(東京都渋谷区)。

 担当者によると、美容室の定休日は月曜もしくは火曜が多く、北海道と関東地方、沖縄県は火曜定休、これ以外の地域と群馬県、山梨県は月曜定休が目立つそうです。美容師向けの講習会や業界のイベントなども、月曜か火曜開催がほとんどだといいます。

 では、月火休みはいつから、何がきっかけだったのか。

 担当者は戦後の「休電日」が関係しているのではないかと推察します。

 休電日とは、電力不足のために電気の供給を停止した日のこと。当時、美容業界では戦時中に禁止されたパーマが解禁され、電髪と呼ばれる電気パーマが再流行中でした。加熱用の機器でウェーブを作るため大量の電力が不可欠。しかし停電になると施術ができなくなるため、月、火曜に多かった休電日にあわせて店を休むようになったのではーーと語り継がれているそうです。

■美容室の定休日、最近の傾向は?

 昭和館(東京都千代田区)が所蔵するポスター「節電について」。電力会社が1951(昭和26)年に発行したものです。電気の使用制限が強化されることや、休電日が週に2~3回実施されることなどが予告されています。

 電力不足の中でも、おしゃれを楽しみたい人たちの間で流行した電気パーマはその後、1956(昭和31)年に国により「コールドパーマネントウェーブ用剤基準」が制定されると、薬液だけを使う技術へ急速に移行します。

 電力が安定し、パーマの技術が進化しても、80年近く消えない戦後の名残でしたが、最近では柔軟な変化も。オフィス街の店舗は客足が減る土日祝を定休日とし、商業ビルなどのテナントは施設の休業日に準じるように。また、美容師が連休を取りやすいようにと、月火の前後に店休日をプラスする経営者も増え始めています。

(まいどなニュース・金井 かおる)

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