真っ白な毛並みがボロボロになったミックス犬 人への不信から大暴れしていたあなた 本来のお利口さんに戻ってくれるまで
2022年から2023年にかけ、岐阜県内のある地域を複数のワンコが彷徨っており、後に岐阜県の動物愛護センターに収容されました。
複数のワンコが彷徨っている場合、野犬であることも多いですが、このケースでは明らかに飼い犬らしきワンコも含まれていました。そのうちの1匹が「てんまくん」という、推定6歳ほどのオスのミックス犬。真っ白な毛並みが印象的ですが、どれだけの時間を彷徨っていたのでしょうか、体はひどく汚れていました。
■人間から受けた嫌な思いのトラウマ? とにかく大暴れ
過去に人間から嫌な仕打ちを受けたのか、動物愛護センターの職員を震えながら見つめていました。そして、近づこうものなら吠えたり噛みつこうとしたり。ボロボロになりながらも自分の命を守ろうとしていました。
てんまくんの存在を知り、引き出すことにしたのが、愛知県を拠点に行き場を失ったワンコの保護・譲渡活動を続ける団体、SORA小さな命を救う会(以下、SORA)でした。SORAは地元・愛知県だけでなく、岐阜県でも行政認定団体としての登録を行なっていることから、岐阜県の動物愛護センターでも引き出すことができました。
■大暴れから一変。預かりボラさんに心を開いた
動物愛護センターの職員から聞いていた、てんまくんの強い警戒心と暴れっぷりは、SORAのスタッフの前でも変わりませんでしたが、スタッフは慌てません。「大丈夫だよー、怖くないからね。それよりてんまくん、その体を綺麗にしようね。ちょっとだけ我慢してね」と声をかけ体をなんとか綺麗にしてあげました。
てんまくんはSORAに提携する預かりボランティアさんの家でしばらく過ごすことになりましたが、やはりここでも大暴れ。しかし、預かりボランティアさんは暴れ回るてんまくんを恐れず、向き合い続けたところ、やがててんまくんは「この人は僕に悪いことをするわけじゃない。むしろ優しく接してくれるんだ」と理解してくれたのか、心を開いてくれるようになりました。
預かりボランティアさんのもとで安心して過ごせるようになったてんまくんは、次第に「本来の自分」も出してくれるようになり、家の中でも活発に動き回るようになりました。また、以前の飼い主のもとでの経験を覚えている様子でトイレや散歩も問題なくできるお利口さんぶりも見せてくれました。
一方、初めての人の前では警戒する素ぶりを見せました。てんまくんが飼い主や放浪生活の間に人間からひどい仕打ちを受けたのではないかとも感じられ、胸を痛める預かりボランティアさんでした。
■紆余曲折を経て見事幸せをゲット!
SORAではてんまくんの里親募集をスタート。譲渡会にも積極的に参加させ、てんまくんの「ずっとの家族」を探し続けました。すると、程なくして「迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。
初めての人の前では大暴れしていたてんまくんも、この里親希望者さんの前では比較的早い段階で心を開きました。きっと里親希望者さんの優しさと、縁を感じ取ったのでしょう。一定期間のトライアルを経て、てんまくんは見事この里親希望者さんの家に迎え入れられることとなりました。
かつては、行くあてもなく不安を抱えながら彷徨い続けていたてんまくん。ここまでの道のりは波瀾万丈そのものですが、ここで幸せな第二の犬生を掴んでくれたことに、おおいに喜ぶSORAスタッフと預かりボランティアさんでした。
一般社団法人SORA小さな命を救う会
https://sora-chiisana.org/
(まいどなニュース特約・松田 義人)