看取る覚悟だった傷だらけの子猫「妹を守ってた?」…職人のサポートで奇跡の回復!「愛情は最高の薬」
■生きようとする力に心を打たれた
社員が協力し、保護猫のお世話をしている建設会社がインスタグラムで話題です。
三重県にあるTMK建設(@tmk_kensetsu)では、現在5匹の猫をお世話しています。中でも話題となったのは、資材置き場で倒れていた「うすしお」と「のりしお」という子猫の兄妹。女の子のうすしおは元気でしたが、男の子ののりしおは起き上がれないほどに弱り、震えが止まらない状態で保護されました。
保護したのは、同社SNS担当の近藤さんです。日曜日の午前中に、社長のお兄さんから「子猫が倒れている」との連絡を受けて現場に急行。日曜日に診療可能な病院を片っ端から探し、やっとの思いで夕方に動物病院に連れていきました。
弱っていたのりしおの体には無数の深い傷が…。一方で女の子のうすしおには傷ひとつありません。お兄ちゃんののりしおが、外でずっと妹を守り続けてきたのでしょう。
でも、獣医さんの診断は「今日明日かもしれない」という厳しいものでした。近藤さんは、のりしおを看取る覚悟で2匹一緒に会社に連れ帰りました。
ところがのりしおは、そこから懸命に命の炎を燃やします。左前脚以外は麻痺で動かない状態でしたが、頑張って頭を起こし、一生懸命にご飯を食べます。
「必死に生きようとする姿に、私も社員のみんなも心を打たれました」と振り返る近藤さん。自然と社員たちが毎日のりしおに声を掛けるようになり、抱っこをしたり、動かない脚をマッサージしたりするなど、手厚いケアが行われました。
すると少しずつ、のりしおの状態が回復。保護から1カ月経つ頃には、ヨチヨチ歩きながらも移動できるまでになりました。
のりしおが元気になっていく様子や、サポートする社員の姿が見られる投稿には、「みんなの多大な愛と、のりしおの生命力に感動」「愛情は最高の薬ですね」「ここには優しさしか存在していない」などのコメントが多数寄せられています。
会社と猫のかかわりについて、近藤さんに話を聞きました。
■社員全員で猫のお世話
--のりしお君はかなり衰弱していたそうですね。
「社長の兄から連絡を受けたとき『震えていて動かない』と言っていたので、『すぐに行くから事務所の中で温めておいて』と伝え、急いで駆け付けました。最初に会った時ののりしおは、かなり衰弱していて目もうつろな状態。その後の動物病院でも『今日明日の命』と言われましたから、『せめて最後は温かい場所で…』という思いで会社に連れて帰りました。でも、のりしおの必死に生きようとする姿に心を打たれて。この子には『諦めない』ということを教えてもらった気がします」
--投稿を拝見すると、今やのりしお君はキャットタワーに登れるほどに回復しています。みなさん懸命にサポートをされていましたが、社員さんたちは猫好きな人が多いのですか?
「猫好きな社員もいれば、そうではない社員もいました。でも、会社で猫を飼い始めてからは、みんなどんどん猫が好きになっています。現場の仕事を終えて事務所に戻ってきたときの癒しになっているそうです」
--会社で猫を飼うようになったきっかけは?
「2022年の8月から、たまこ、かつおという保護猫を飼い始めました。また、会社の資材置き場に現れる外猫の『ぽち』も、長らく外でお世話をしていました。警戒心が強くてなかなか保護できない子でしたが、少しずつ私たちに慣れてもらって、この2月にようやく保護。ぽちが加わって、会社の猫は5匹になりました」
--大所帯になりましたね!猫のお世話はどなたがされているのですか?
「社員全員でお世話しています。特に当番制ではなく、朝早く出社した人がトイレ掃除をして、ごはんはその時間に事務所にいる人があげています。ごはんをあげたらグループLINEで『ごはんOK』と報告します」
--投稿を見ていても、社員さんみんなが猫を愛している様子が伺えます。SNSでの発信で、何か嬉しい変化はございましたか?
「フォロワーさんからいただくたくさんの応援メッセージが本当にうれしいです!中には、猫のフードやおもちゃを送ってくださる方もいて、とてもありがたく感じています」
TMK建設のインスタグラムアカウントでは、5匹の猫たちの幸せな日常の他、プロの職人さんたちがキャットウォークや猫ハウスを作る様子も投稿されています。
また、麻痺が残る中、懸命にリハビリを続けるのりしお君の動画もたくさん。温かで、元気をもらえる投稿の数々、興味がある人はぜひチェックしてみてくださいね。
(まいどなニュース特約・鶴野 浩己)