上タン50人前騒動、弁護士の見解は?「食べ放題」なら無制限に食べる権利があるのか
《焼肉食べ放題で上タンばかり食っていたら店長にマジギレされてクソワロタ たった50人前だぞ?》
3月中旬、焼肉食べ放題を訪れた人物の投稿がXで物議を醸した。この人物は「好きなだけ食べることが許されないのであれば、店は食べ放題をやめるべきではないか」と意見したが、SNSでは賛否が分かれる結果に。「食べ放題」という契約において、店側はどこまで対応する責任を負うのか。弁護士に聞いた。
投稿は3月14日のもの。大のタン好きだというこの人物は、4千円食べ放題のコースで上タンを繰り返し注文し、ストップをかけられたようだ。SNS上の意見では「いくら食べ放題とはいえ常識から逸脱した量を頼むのはモラルがない」といったものが目立つものの、「食べ放題という契約が成立しているのに店が注文を制限することは許されるのか」と懐疑的な声もあった。
大阪などにオフィスを構えるAuthense(オーセンス)法律事務所の川崎賢介弁護士に聞いた。店側が注文を制限することについて、川崎弁護士は「食べ放題に時間や量の制限がなかったとしても、店側に無制限に飲食物を提供する義務はない、と考えられます」と話す。
SNSでは、景品表示法(景表法)違反を指摘する声もあったが「それはないと思います」と否定。「少なくとも在庫がなくなれば再調達してまで提供する義務はありませんし、在庫がなくなる前でも座席数などから"合理的に考えられる量"を判断し、注文を断ることは可能です」とする。店側が意図して明確に少ない量しか在庫を用意していなかった、といったケースを除き、景表法違反が認められる可能性はきわめて低いというという。
では、大食いの客が連日来店し、毎回食べ放題コースで膨大な量を食べられて店側が困った場合、その客を「出禁」にするような対応は認められるのだろうか。川崎弁護士は「法的にそれは難しいはず。もちろん個別で声をかけて『お客さんちょっと…』とお願いすることはできても、一方的にその人に限定して食べ放題を適用しないというのは、景表法違反や債務不履行にあたる可能性もあると思います」とする。そういった場合には、店側が量の制限をつけるなど、食べ放題コースそのものの内容を一律に変更することが適切な対応になるようだ。
(まいどなニュース・小森 有喜)