「だから言ったのに…」優しいはずの夫から、時々放たれるトゲある一言 「隠れモラハラ男」の定番セリフ5選【夫婦カウンセラーが解説】
「隠れモラハラ男」は、普段は優しい夫や彼氏なのに、ときどきトゲのある言い方をするのが特徴です。直接的な暴言ではなく、何気ない言葉で少しずつ精神的なダメージを与えてきます。隠れモラハラの特徴をチェックリストで紹介しますので、夫・彼氏の言動と比較してみましょう。
■優しいけどストレスが溜まる彼は「隠れモラハラ」?
暴言を吐かれたり、厳しい言葉で叱責されたりしたことはないのに、パートナーと会話をするとストレスを感じることはありませんか。話し方は穏やかなので分かりにくいのですが、そのパートナーは隠れモラハラ男かもしれません。会話の中で遠まわしに相手を見下すようなセリフをはさむので、会話を続けるうちになんとなく嫌な気持ちになってしまいます。
「優しい彼がまさかモラハラなんて」と信じられない人もいるかもしれません。しかし、妻や恋人に対して表面上は愛情を持って接するのは、隠れモラハラ男によくある特徴です。さらに、愛想がよく周囲の人からも好かれやすいので、身近なパートナーや家族以外は、モラハラを疑うことすらありません。
モラハラ被害者は精神的に傷つけられていると自覚できないまま、周囲にも相談できず、相手に逆らえない状況に陥ってしまう危険があります。隠れモラハラ男の特徴やよく口にするセリフを紹介しますので、パートナーの言動に違和感があり、ストレスを感じるときがある人は、当てはまるものがないか確認してみましょう。
■隠れモラハラ男によくある特徴をチェック
隠れモラハラ男によくみられる特徴をチェックリストで紹介します。1つでも当てはまるものがあれば、隠れモラハラ男の可能性があります。パートナーが隠れモラハラ男かどうか診断したいときの参考にしてください。
・相手を自分好みの服装にさせようとする
・甘い言葉で機嫌を取ろうとする
・平然と小さな嘘をつく
・恩着せがましい
・自分の理想を押し付ける
・相手の親しい人を見下す
・相手の自信を失わせるようなことを言う
隠れモラハラ男は、妻や恋人の外出時の服装について口を出しがちです。「ちょっと露出多くない?」「こないだの服のほうが似合ってるよ」などと遠まわしな表現で自分の意見に従わせようとします。
隠れモラハラ男がこのような行動をとるのは、相手の見た目を自分の思い通りに変えて支配欲を満たすためだと考えられます。また、妻や恋人への過度な愛情から、目立つ服装で他の男から視線を向けられるのが耐えられないという気持ちもあるようです。
▽甘い言葉で機嫌を取ろうとする
「自分には君しかいないんだ」などと隠れモラハラ男が珍しく甘い言葉を使うときは要注意です。隠れモラハラ男は、普段は相手を見下しているものの、自分の思い通りになる妻や恋人を失いたくないという思いが強いのも特徴です。このため、妻や恋人の気持ちが離れそうになると、感情に訴えかけるセリフで機嫌を取ることがあります。
▽平然と小さな嘘をつく
隠れモラハラ男は自分の優秀さをアピールし、妻や恋人に「この人には敵わない」と思い込ませようとします。そのために都合の悪い自分のミスや欠点は、嘘をついてでも隠す傾向があります。
食器を割ってしまったのを子供のせいだと言い張ったり、残業で遅くなると言って実は飲み会に行ったりと、すぐにばれるような小さな嘘をつくのが特徴です。内容は大したことがなくても、日常的に平然と嘘をつくので、妻や恋人は不信感を抱きがちです。
▽恩着せがましい
隠れモラハラ男は妻や恋人より自分が偉いと思っているので、ちょっとしたことでも恩着せがましく感謝を強要します。さらに「やってあげたんだから〇〇してよ」などと言って妻や恋人が断りにくい状況を作り、うまく自分に従わせようとするのです。
妻や恋人の誕生日にはきちんとプレゼントを贈りますが、「それ高かったんだよね」といった余計な一言を必ず付け加えます。お返しに同等かそれ以上のプレゼントを要求されるので、もらった側はありがた迷惑です。
▽自分の理想を押し付ける
隠れモラハラ男は妻や恋人を思い通りにコントロールしたいという気持ちが強く、自分の理想を押し付けようとします。具体的に指示するのではなく「女性はこうあるべき」という一般論を持ち出して、それとなく察するよう仕向けるのが特徴です。
「普通の奥さんは夫をもっと大事にするよ」などと妻を注意しますが、ここで言う「普通」とは隠れモラハラ男の理想であり、世間一般の平均とはかけ離れたものです。また、自分の母親や女性芸能人など自分にとって理想に近い女性と比較して、妻や恋人の至らなさを自覚させようとします。
▽相手の親しい人を見下す
モラハラ加害者は相手を見下す言葉をよく口にしますが、隠れモラハラ男は妻や恋人に対して直接そういった発言はしません。代わりに妻や恋人の友達など親しい人を馬鹿にするような悪口を言って、間接的に妻や恋人を貶めるのが特徴です。
さらに「あんな程度の低い人たちと付き合っていては、君も同じになってしまうよ」といった上から目線のアドバイスで、妻や恋人の人間関係まで管理しようとします。
▽相手の自信を失わせるようなことを言う
妻や恋人を自分の言いなりにさせたい隠れモラハラ男は、ネガティブな表現で妻や恋人のプライドを少しずつ傷つけます。そして、自分に自信が持てなくなった妻や恋人に対して「俺がいないとダメだ」などとささやき、依存させようとするのです。
モラハラがエスカレートすると、妻や恋人が「彼がいないと生きていけない」と信じ込んでしまう洗脳状態になるケースもあります。こうなってしまうと、毎日つらい思いをしているのに、隠れモラハラ男から逃げられなくなるかもしれません。
■隠れモラハラ男の定番セリフ
隠れモラハラ男には、よく口にする定番のセリフがあります。具体的なセリフを5個紹介しますので、パートナーとの会話の中で頻繁に耳にする言葉がある人は注意しましょう。
▽なんでそんなことするの?
モラハラをする人は相手の間違いを指摘するのが大好きです。隠れモラハラ男も同様の傾向がありますが、頭ごなしに否定するのではなく、疑問を投げかけることから始めます。
「なんでそんな服を着るの?」「なんで先にやっとかないの?」などと、言い方は穏やかですが、言われたほうは一瞬戸惑ってしまうでしょう。質問に答えても、隠れモラハラ男は、さらに「なんで?」「どうして?」と畳みかけてくるので、妻や恋人は本意でなくても自分が間違っていたと認めるしかありません。
▽君のために言ってるんだよ
「君のためを思って言っているんだから」とは、隠れモラハラ男がよく言う定番のセリフです。妻や恋人の成長のために苦言を呈するという形で、料理の味付けや自分に対する態度などについて、思いやりがあるように見せながら不満をぶつけます。
実際のところ、相手を見下して精神的に攻撃する言動は、一般的なモラハラとほとんど変わりません。しかし「君のため」という一言を加えたせいで、妻や恋人はモラハラに気づけず、自分を責めてしまいます。
▽女性なんだから
隠れモラハラ男の中には、女性らしさをやたらと重視する人もいます。「女の人がそういうこと言わないほうがいいよ」「女の子はいつも笑顔でいないと」などとアドバイスしたがりますが、自分の理想の女性像の押し付けに過ぎません。
同時に、こういった隠れモラハラ男は、女性が家事をするのは当然だという固定観念も持ち合わせています。そのため「女性なんだから得意でしょ?」と共働きでも妻に家事を押し付けがちです。
▽心配している
「君のことを心配している」というセリフには通常、相手を思いやる気持ちが感じられますが、隠れモラハラ男が言う場合は、必ずしも言葉通りではありません。なぜなら、束縛が激しい隠れモラハラ男は、心配しているふりをして妻や恋人の行動を監視しようとするからです。
メッセージにすぐに返信しない妻や恋人に対して「なにかあったの?心配だよ」としつこく連絡を入れ、返信しない理由を問い詰めます。また、妻や恋人が外出するときは、誰と会うのか、いつ帰るのか細かく報告させるなど、勝手に細かいルールを作るのも特徴です。
ルールを破ると浮気を疑われることさえあり、「これ以上心配させないで」とGPSアプリで常に居場所を把握されて自由を奪われるケースもあります。
▽だから言ったのに
妻や恋人が何か失敗をしたとき、隠れモラハラ男はきつい言葉で責任を追及することはありません。その代わりに相手をフォローするふりをして、静かに嫌味をつぶやき、妻や恋人を精神的に追い詰めるのが特徴です。
そのときよく言うのが「だから言ったのになぁ」という相手を見下したようなセリフ。自分の言うことを聞かなかったためにミスをした妻や恋人を責める意味が込められています。このような言葉を何度も聞かされると、妻や恋人は自分の判断に自信が持てなくなってしまいます。さらには、隠れモラハラ男の指示がないと何もできなくなってしまうかもしれません。
■優しい口調で傷つける隠れモラハラ男に注意
隠れモラハラ男は優しい口調で油断させ、相手の人格を傷つけたり、言いなりにさせようとしたりするのが特徴です。「君のため」など愛情を感じさせるセリフを使うので、モラハラ被害にあっていることに気づきにくいケースも少なくありません。
紹介した隠れモラハラ男の特徴や定番セリフが、パートナーの普段の言動に似ていると感じる人は要注意です。モラハラがひどくなる前にパートナーとの関係を見直し、必要があればカウンセラーなど専門家への相談も検討しましょう。
一般的に多くの人が認識しているのは、暴言を吐いたり、物に当たったりするわかりやすいモラハラです。しかし、このように一見わかりにくい”隠れモラハラ”もあり、実は一般的に言われているモラハラよりも露呈しにくく、被害に遭っていても一生気付けなかったり気付きにくかったりするので、被害者は長い期間苦しむこともあります。
「声を荒げない人=優しい人」ではありません。判断に迷ったら専門家に相談してみましょう。
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◆高草木 陽光(たかくさき・はるみ)夫婦カウンセラー/課題解決型マッチングメディア「リコ活」専門家
これまで9,000人以上のカウンセリングを行い、夫婦問題・家族問題で悩む人を解決に導くお手伝いをする夫婦カウンセラー。美容師、育毛カウンセラーを経て、結婚して専業主婦となるが、夫の束縛や価値観の押し付けに違和感を覚え「結婚生活とは何か」ということを深く考え始める。書籍に「なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか」(左右社)、「心が折れそうな夫のためのモラハラ妻解決BOOK」(左右社)、メディア実績にNHK総合「あさイチ」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」、テレビ朝日「羽鳥慎一 モーニュングショー」、「ABEMA Prime」などがある。
(まいどなニュース/リコ活)