「保健所か殺すしか」ずっとリードでつながれていた三毛猫 新たな家族にめぐり会って美食に目覚め、人の温もりに包まれる
■保健所に連れていくか殺すしかない
瓈紗(りさ)ちゃん(8歳・メス)は、生活保護を受給している高齢者が飼っていた猫だった。りさちゃんが生まれた時から飼っていたそうだが、りさちゃんの兄弟は、飼い主が殺したため1匹も生き残っていなかった。家賃未納のため立ち退きを迫られていたのだが、「猫を連れていけないなら保健所に連れていくか殺すしかない」と、役所の担当者にぼやいたという。
その担当者は猫アレルギーのため飼育ができず、知人に譲渡サイトへの投稿を依頼した。
■ずっとリードに繋がれていた
猫の保護活動をしている宮城県在住の出山さんは、里親募集サイトのブログ機能で先住猫の記録を書いていた時、たまたま、りさちゃんの募集情報を目にした。
「リードに繋がれたガリガリの猫の写真が掲載されていて、急ぎだと書いてありました。基本的に急いでますと書かれた投稿には虐待犯が目をつけやすいので、親切心で一時預かりを申し出たところ、投稿主様の信用を得られ、先住猫との相性が良ければそのまま譲渡という形で受け入れました。」
2016年5月、出山さんのところにりさちゃんがやってきた。出山さん宅の猫は、みんな名前の頭に「瓈」が付く。チョコレートの紗々が好きで、紗々みたいに繊細そうな感じの子だったので、瓈紗(りさ)ちゃん」という名前にしたそうだ。
りさちゃんは、ずっとリードで繋がれていたので、段差を登ったりジャンプしたりすることができず、ケージの中に設置したトイレの砂の上にうずくまっていた。家や人に慣れ、体力が回復すると動けるようになったという。
■可愛いは正義
今はすっかり家に馴染んでわがままし放題。
「とにかく偏食がすごいです。毎日毎食、違うご飯を出さないと食べてくれません。それでも気分じゃない時は匂いだけかいで食べません。肉より魚派。実は、ちゅ~るも食べない世にも珍しい猫なんです。」
好きなことはママと一緒に寝ること。前脚で毛布を掘ってみたり、頭突きして布団と毛布の間に隙間を作って、そこから潜り込んだりする。時には、出山さんの腕を枕代わりにして寝ることもある。
「それがまあ可愛いのなんの!ずっとそんな感じなので、起きると腕がしびれています。繊細な子だから、こちらが寝返りを打つと驚いて布団から出て行ってしまうのですが、数十分後にはまた『お布団入れて~』攻撃が始まって、それの繰り返し。おかげであんまり寝た気にもならないし、起こしちゃ悪いと思って、睡眠時にほぼ寝返りを打たない生活になりました。」
出山さんは「それでも可愛いから許す!可愛いは正義です。」という。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)