「苦しすぎる。家族は痩せる一方」「未来に夢も希望も無い」…ひとり親家庭の約6割が「年収200万円未満」
ひとり親家庭を対象としたフードバンク事業『グッドごはん』を運営する認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンは、このほど「ひとり親世帯の収入」に関する調査結果を発表しました。同調査によると、2023年の年収(各種社会手当・養育費・同居家族の収入含む)は、約6割が「200万円未満」であることが分かりました。また、2023年における職場での賃上げの状況については、7割強の人が「自分の給料は変わらなかった」と回答しており、物価上昇下でより困難な暮らしを余儀なくされている状況が浮き彫りとなりました。
調査は、首都圏(主に東京・神奈川・埼玉・千葉)、近畿圏(主に大阪・京都・兵庫・奈良)、九州圏(主に佐賀・福岡)在住で、同事業を利用する「ひとり親家庭等医療費受給者証」を持つひとり親2391人を対象として、2024年2月にインターネットで実施されました。
調査によると、回答者の「就労のみによる2023年の年収(手取り)」は、「1円以上100万円未満」が25.1%、「100万円以上200万円未満」が43.4%など、就労収入の低い世帯が大きな割合を占めていることが明らかとなりました。また、「就労形態」については、回答者の半数以上が「非正規雇用」(55.2%)で就労している(2023年末時点)ことが分かりました。
また、回答者の「世帯全体における2023年の年収(各種社会手当・養育費・同居家族の収入含む)」については、「1円以上100万円未満」が21.0%、「100万円以上200万円未満」が37.0%など、「200万円未満」が58.0%に及んでいることが判明。
回答者からは「苦しすぎる。4月から娘が小学校だがお金がなく全く用意できてない」「毎日の生活だけで精一杯で今後の為の貯金が無く、子どものためのお金が無いのがとても不安」「家族は痩せる一方」「離婚した元主人からの養育費も無くとても生活が苦しい。子供たちは未来に希望も夢も無いと話す」といった困窮する生活や将来への不安に苦悩する声が上げられました。
次に、「最近の物価上昇で、あなたの家計はどのように変化しましたか」と聞いたところ、60.1%が「非常に苦しくなった」と回答、「やや苦しくなった」(34.6%)を合わせると、9割を超えるひとり親が、昨今の物価上昇に苦しめられている状況がみてとれます。
物価上昇に苦しめられている状況が明らかとなった一方、2023年における「職場での賃上げの状況」については、「職場で賃上げはなく、自分の給料は変わらなかった」(64.4%)や「職場で賃上げはあったが、自分の雇用形態には適用されなかった」(10.9%)など、75%を超えるひとり親が「自分の給料は変わらなかった」と回答し、物価上昇下で収入が上がらず、より困難な暮らしを余儀なくされている状況が浮かび上がりました。
また、「物価上昇で家計が苦しくなったことが主な理由でとっている(とった)行動」について複数回答可で答えてもらったところ、「家で冷暖房器具を使うことを控えている」(64.2%)、「肉や魚、野菜を控えている」(62.1%)、「自分の食事の量を減らしている」(56.1%)といった回答が上位に挙がり、健康的な生活が脅かされるほどの切迫した暮らしに陥っている状況もうかがえました。
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調査を実施した同法人は、「困窮を招く要素は複雑に絡み合っており、一度貧困に陥ると、その状態から自力で脱却することは容易ではありません。また、困窮家庭は、今般の物価上昇にみられるような社会不安による影響を大きく受け、一層脆弱な立場に置かれやすい」と説明。
そのうえで、「子どもの貧困を看過することは、その子自身の可能性だけでなく、未来の社会の安定・成長の損失をも引き起こすと言えます。すべての子どもたちが将来への希望をもち、来る社会の担い手となれるよう、今の社会全体で困窮家庭に目を向け、貧困問題の改善に取り組んでいくことが求められます」と述べています。