あなたはストリートファイター? 喧嘩が絶えない地域猫 猫カフェスタッフの愛情を受けて…協調性のある穏やか猫に変身!
福岡県古賀市で古民家猫カフェを営み、猫の保護・譲渡なども行っているCafe Gattoは日頃より外で暮らす猫たちの保護活動(PNH活動)もしています。
県内のとあるエリアでのこと。喧嘩っ早い猫がおり、スタッフは追い詰められるほうの猫を保護したり、喧嘩の仲裁をしたりしていました。
その猫は、まん丸の目で一見穏やかそうに見えるイケメン猫ですが、性格は見た目に反してたびたび襲いかかってくる素振りを見せました。行動している間はあちこちでシャーシャー。自分より大きな猫でもお構いなしに追いかけ襲いかかるという、まるで猫版「ブレイキングダウン」のようです。
■捕獲器の中からも人間に対して威嚇
Cafe Gattoでは、この猫が他の地域猫とこれ以上トラブルにならないよう、保護することを決断。何度か近隣に捕獲器を設置し、ようやく捕獲器に入ってくれました。
「良かった」と喜ぶスタッフでしたが、しかし、当の猫は捕獲器の中からすごい剣幕で威嚇。スタッフでも腰が引けるほどの威圧ぶりでした。
■穏やかな花言葉にちなんだ名とは真逆に「なんじゃオラ!」
素人目には「こんなに凶暴な猫が、穏やかな性格になるはずがない」とも思いますが、スタッフは、その豊富な経験から「確かに怖い猫ですが、こうやってうなっている猫ほど馴れてくると、ゴロニャンの甘えん坊くんになることがある」と言います。
この喧嘩っ早い猫が性格を一変してくれることを期待し、スタッフは「がじゅまるくん」と名付けました。「たくさんの幸せ・健康」という花言葉にちなんでのものでしたが、「がじゅまるくん!」と呼んでも、「なんじゃオラ!」といった反応です。
■幸い、がじゅまるくんは健康体だった
スタッフはがじゅまるくんにビビりながらもしばらくの間、自宅で保護し様子を見ました。一週間ほど経過すると、スタッフへの態度が少し変わりました。「俺が喧嘩をふっかけているのに、こいつは全然応じない。もしかして良いやつ? いや、まだ信用するのは早いぜ」と思ってくれるようになったのか、威嚇の回数が明らかに減ってきました。
そこでスタッフはがじゅまるくんを動物病院へと連れていき、診断と去勢手術を獣医師に依頼。獣医師の目から見て、がじゅまるくんは推定8歳ほど。少し咳き込む持病がありますが、特に目立った障がいや持病はないとのことです。
■多くの猫たちの輪を前に少し逃げ腰気味に
去勢手術を終えたがじゅまるくんは以降はさらに落ち着いた姿を見せてくれるようになりました。
そして、Cafe Gatto自宅療養組の一部屋で他の猫と一緒に生活させることを決心しました。「他の猫とまた喧嘩をしてしまうのではないか」という不安はありましたが、がじゅまるくんに一歩踏み出してほしかったからです。
すると、ここでのがじゅまるくんは少し逃げ腰気味な様子で、他の猫に遠慮がちに接するように。スタッフはがじゅまるくんの成長ぶりをおおいに喜びました。そして、後には他の猫とも協調して楽しく過ごせるようになり、部屋の中を散歩したり、うれしそうにキャットタワーに上るようになりました。
エサだけは他の猫の分まで食べるほどの旺盛ぶりですが、8年間も外の過酷な環境で生き抜いてきたので、この点はご愛嬌。「この野生味もまたがじゅまるくんの魅力の一つ」とスタッフは前向きに捉えています。
喧嘩三昧だった以前に比べれば、ずいぶん穏やかになってくれました。がじゅまるくんは今日も少しずつコミュ術を進化させながら、今日も自宅療養組の部屋で元気に過ごしています。
(まいどなニュース特約・松田 義人)