「職場のデジタル化は遅れている」約6割 一方「デジタル化によって他社とのやりとりに困った」人の割合は?
放送アナウンス作成サービス『YUTTE(ゆって)』を提供するTOA株式会社(神戸市中央区)は、このほど「職場環境・デジタル化の実態」に関する調査結果を発表しました。同調査によると、約6割の人が、「職場のデジタル化は遅れている」と回答しました。その一方で、約3人に1人が「デジタル化によって他社とのやりとりに困った経験がある」と回答したそうです。
調査は、全国の20~50代のビジネスパーソン男女500人を対象として、2024年3月にインターネットで実施されました。
まず、「DXについての理解度」を調べたところ、「全く知らない」(32.0%)と「言葉だけ知っている(意味は知らない)」(28.0%)を合わせると6割弱が「知らない」と回答し、依然としてDXへの理解度が低いことが分かりました。
一方、「理解している」と答えた割合を年代別にみると、20代が24.8%、30代が17.6%、40代が16.8%、50代が13.6%と、年代が上がるにつれて理解している人が減少する傾向が見て取れました。
また、「職場においてのDXへの取り組み」については、「推進されていて、取り組んでいる」(31.2%)が3割にとどまったのに対して、「推進されていない」は56.2%、「推進されているが、取り組んでいない」が12.6%と、なかなか取り組みを実現できていない職場もあることがうかがえました。
続いて、「デジタル化は進んでいると感じますか」と聞いたところ、全体の61.8%が「遅れている」(遅れている29.0%、どちらかというと遅れている32.8%)と回答し、「経営上位層の認識が遅れていて、メリットの周知が進んでいない」「契約書や発行する資料などいまだに紙で取り扱っていることがほとんど」「取引先がアナログ業務のところが多いため」といった意見が寄せられました。
そこで、「デジタル化のメリット」を複数回答で答えてもらったところ、「データ管理が楽」(49.0%)、「情報の共有がしやすい」(38.2%)、「仕事のスピードが上がる」(37.4%)といった回答が上位に挙がりました。
その一方で、約5人に1人が「DXやデジタル化の流れを職場に推進され、意味のないデジタル化を求められた経験がある」(19.4%)と回答しており、職場のデジタル化は、社員にとって良い形で進められていない部分もあることがうかがえます。
ちなみに「デジタル化ができていないもの」を複数回答で答えてもらったところ、「社内書類の印刷や決裁者の押印」(36.2%)、「社外向け書類の印刷や契約者などへの押印・郵送」(28.2%)、「FAXの送受信」(27.4%)といった回答が上位に並びました。
回答者からは、「データ化できないために他人の記載した文字が読めない」「契約書にハンコを貰うためだけに出社した日は非常に無駄だと感じた」「過去の資料を探すときにファイルから紙の資料を探すのが大変」「情報共有ができず顧客情報に偏りがある」などの声がみられました。
次に、「デジタル化によって取引先など他社とのやりとりに困った経験やギャップを感じた経験」については、全体の36.4%が「ある」(何度もある11.0%、ある25.4%)と回答。
また、30.8%の人が「デジタル化が進むからこそ、悩みや困ったことがある」(ある7.0%、どちらかというとある23.8%)と回答しており、具体的には「デジタル化についていけず、覚えるまで負担がかかる」「人とのコミュニケーションが少なくなった」という声が寄せられました。
さらに、33.0%の人が、業務を行う上で「メールでの連絡であったため、気付かなかった・理解できずに困った経験がある」(何度もある8.2%、ある24.8%)ことも分かりました。