不幸な猫を減らすためのTNR もっと幸せになってほしい 福岡の猫カフェが提案する「PNH」とは

地域で暮らす猫をいったん捕獲し(Trap)、不妊手術を施し(Neuter)、元いた場所に地域猫を戻す(Return)というTNR活動。繁殖を防止するとともに、TNRを実施された猫は耳の一部をカットされ、「さくら猫」として示されます。飼い主がいない猫にかかわる苦情や殺処分の減少に寄与するものとして知られています。

他方、このTNRとはまた違う独自の保護活動を行う団体もあります。福岡県古河市で猫カフェを運営するCafe Gattoでは多くの猫の保護を行っていますが、同カフェが掲げる活動が「PNH」というものです。

■事故・病気だけでなく猫が虐待を受けるケースも

PNHとは、地域で暮らす猫を保護し(Project)、不妊手術を施し(Neuter)、そのまま家猫にする(Home)というもの。この通り、一番最後に地域猫をリターンするのではなく、「家猫にする」という点がTNRとの違いですが、そもそものCafe Gattoのコンセプト「すべての猫におうちを」に基づいて掲げられていることがわかります。スタッフはこんなふうに話してくれました。

「外で猫が生きていくということは、私たちが思っているよりもずっと過酷です。交通事故で命を失ったり、飢えで苦しんだり、暑さや寒さとの闘いがあります。また、近年は虐待死も増えています。猫たちも必死に生きています。

むやみに虐げられ殺されていいはずはありません。生まれてきたからにはみんな幸せになってほしい……すべての猫に安心して暮らせる『おうち』をみつけることを目標に、これまで猫を保護し、治療や不妊手術、その他必要な検査をして『ずっとのおうち』をみつける活動を続けてきました。

これを『PNH』と呼び、今後も継続して続けていきたいと思っています」(Cafe Gattoスタッフ)

■「おうち」が見つからない猫も最後までお世話する

「ずっとのおうち」を探すわけですから活動のハードルは上がります。しかし、それでもCafe Gattoでは同カフェの施設やスタッフの自宅などで、複数の元地域猫のお世話をし、そして幸せな猫生をおくれるよう里親さんへと譲渡し続けています。

また、仮に里親さんが見つかりにくかったり、重篤な持病がある猫であっても、Cafe Gattoでは最後まで面倒をし続けています。

そして、この活動にかかる費用は「一般からの寄付」「一般からの物資支援」「ファンクラブ加入」「ネットショップでの買い物」「カフェ利用」などの収益で賄われています。

■「すべての猫におうちを」

猫個々の「ずっとのおうち」を見つけることと合わせて、猫を取り巻く問題を多くの人に知ってもらい、そして参加してもらうことも目指すというPNH。

2023年の秋には、ある高齢者が暮らす民家の庭で猫たちが繁殖を繰り返すところを保護しました。

ここでの保護はなかなか苦戦しましたが、この間に母猫が子猫4匹をを出産。結果的には、家主の高齢者の方も協力してくれたことで、この庭で生まれた子猫4匹も保護することができました。

子猫4匹はまだ生まれて間もない時期でした。適切な世話をしなければ、病気などで生まれてすぐに命を落としてしまう可能性もあります。また、成猫であっても地域猫として暮らすには、現代の環境はあまりに危険。事故はもちろん、病気やけがなどで命を落とすことも考えられます。

こういった悲惨なことが起きないよう「すべての猫におうちを」と掲げ実践し続けるのがCafe Gattoです。スタッフはこの日、保護した子猫を4匹を前に「本当に良かった」と喜び、今日もこの地域猫出身の猫一家のお世話を続けています。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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