「今の時代にはそぐわない」「いやいや、何がいけないの?」団地の壁に描かれた母子の絵に賛否の声
「今の時代だったら絶対描けない絵」
団地を愛し、サイト『公団ウォーカー』をの運営等を通じて、その魅力を広く伝える活動を行っている照井啓太さん(@codanwalker)。X(旧Twitter)にて、団地に描かれたイラストの写真を公開しました。
照井さんによると、写真は千葉市にある花見川団地の一角とのことです。「9-3」と番号が記された棟の壁に、母子の絵が描かれています。たくましい様子の“ママ”と、その腕にぶら下がったり掴まったりして寄り添う3人の子どもたち。微笑ましいイラストですね。
■団地の建物の壁に絵を描く「住棟壁画」
団地の各棟の妻側(両サイド)にイラストを描く「住棟壁画(団地壁画)」。
母子のイラストもその一つです。
「イラストカット集の絵をそのまま使った例も多く、(今回の絵も)おそらく幼稚園向けイラスト集あたりから取ったのだろうと思います」(照井さん)
また、照井さんは関連ポストにて、別の団地にある母子のイラストも公開。こちらは、大阪府堺市南区にある泉北竹城台二丁団地に描かれたものだとのこと。こちらも、とても幸せそうなイラストですね。
■今の時代では描けない…? リプ欄でもさまざまな意見
大人から子どもまで、幅広い世代の人が暮らす団地。母子のイラストは、そんな団地で健やかに楽しく暮らしている家族を表現しているように思えます。
しかし、照井さんはこれらの絵を、昔ながらの懐かしい団地の風景としてXに紹介する一方で、「今の時代だったら絶対描けない」ともコメントされています。
確かに、ジェンダーフリーやジェンダーレスが叫ばれる昨今。これらのイラストには、親としての“ママ”しか描かれておらず、そのため「女性は家庭に入るべき」、「子どもの面倒は女性がみるべき」というような意味合いに捉えられてしまう可能性もあります。
「今の時代はイラストの裏に込めた意味付けとか、その絵が与える影響とかを考えすぎるので、こういった絵にも政治的メッセージ性を感じるのかもしれません。昔はそういった意味で自由な時代だったのだろうなと思います」(照井さん)
リプ欄にも、「今描いたらバッシング来そう」、「いまだとお父さんが子供を抱っこして、隣でお母さんがニコニコしている絵でないとバツをくらってしまいます」といったコメントがありました。しかし、また異なる意見も。
「でも私好きだったな。こういう、カーチャン!みたいなの」
「普通にいい家族の絵やと思うが…」
「この絵があっても良いのが“多様性”のはずなんだけどな」
「これが叩かれる世の中、生きづらいなと心底思う。表現抑圧の度合いがどんどん増していく」
このように、リプ欄にはさまざまな意見が出ていました。その人の感じ方や考え方によって、良いとも悪いとも捉えられ、難しい問題のようにも思えます。
■さまざまな観点から、団地の魅力を紹介
今回、住棟壁画について紹介された照井さん。他にもさまざまな観点から、団地を紹介されています。
東京都小平市の社宅で生まれ育った照井さんは、高校2年生の頃から団地の魅力にハマり、大学生の頃に団地ファンサイト『公団ウォーカー』をオープン。現在、“公団住宅”という言葉はほとんど使われないかもれませんが、“公団”という言葉に愛着がある照井さんは、それを自身のサイト名に残し続けているとのこと。
緑豊かで、老若男女が安心安全に暮らすことができ、多くの日本人にとって心のふるさとでもあるような団地。そんな団地の魅力を照井さんはより広く伝えるべく、発信を続けています。
同サイトには、照井さんが団地にハマったきっかけや、サイト開設の経緯、団地に対する思いなども、詳しく紹介されています。
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団地の住棟壁画はさまざまなものがあり、いろんな地域の団地で見ることができるそうです。なかでも、照井さんのオススメは茨城県取手市にある戸頭団地の住棟壁画。東京芸大の芸術性の高い作品が見られるとのことです。
また、照井さんは書籍『日本懐かし団地大全』も出されています。「これをを読んでから団地を歩くと、新しい発見があるかもしれません。団地ビギナー向けガイドブックとしてぜひお読みくださいませ」とのことです。
※記事を修正しました(2024年4月24日12時35分)
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・竹中 友一(RinToris))