きょうだいだけど関係は微妙? 警戒心強めのきょうだい猫を捕獲しTNR 餌やりさんに伝えたいこと
関西のとあるエリアで暮らす野良の黒猫きょうだいがいました。1匹が「ザ・オス」といった風貌で、もう1匹が小柄なメス。きょうだいであるにもかかわらず、2匹はとても仲が悪く、たびたび喧嘩する場面が目撃されていました。
黒猫きょうだいに朝晩食べ物を与えていた餌やりさんは複雑な気持ちで見守っていました。2匹とも耳が桜カットされていなかったことから「もしかしたら発情の影響でイライラしているのかも」とも思いました。
きょうだいが外で生きていくのであれば、避妊去勢はしておいたほうが賢明です。餌やりさんは、この黒猫きょうだいにTNRを実施することを決意。その手伝いを、猫のサポートを行う会社「ねこから目線。」に依頼しました。
■警戒心強めの2匹を無事捕獲
依頼を受けたスタッフは、餌やりさんからの情報のもと、餌場の近くに捕獲器を設置しました。
さっそくオス猫が捕獲器付近に現れましたが、警戒心が強く、奥のエサに一瞬近づくも、踏み板の盛り上がりを察知し、そのまま後退りして去っていきました。メス猫はこの日は現れず、スタッフは切り上げることにしました。
後日、人の往来が少なくなる夜間に捕獲器を設置。あたりは真っ暗にもかかわらず餌やりさんが突然「あの猫きょうだいが近づいてきている!」と言います。スタッフは全く認識できませんでしたが、さすがは普段からご飯をあげている餌やりさん。真っ暗でも2匹の存在を確認できるようでした。
スタッフは素早く捕獲器を設置。すぐにオス猫が捕獲器へ向かいました。捕獲器の中に置いた「ちゅーる」目当てに、兄猫はどんどん奥へ進み、一番奥へ来たところで捕獲器の扉を閉める紐を引いて作動させ、無事捕獲することができました。前回の失敗を教訓とし、「踏み板がない」捕獲器にしたのも功を奏しました。メス猫用にも捕獲器を設置し様子を見ていると、ほどなくして姿を見せてくれました。やはり警戒し、捕獲器の外からエサを取ろうとしていましたが、思うようにいかず中に入ったところで、無事に捕獲することができました。
■発情期の出産は母猫・子猫ともに過酷
黒猫きょうだいはそれぞれ避妊去勢手術を終え、元いた場所へとリターンされました。その後、2匹の仲がどうなったかは不明ですが、仮に冒頭で触れたような「発情」が理由だったのだとしたら、2匹が仲良くなってくれることを願います。
スタッフによれば近年は暖冬の影響もあり、通例の発情期より早い時期に「野良猫から発情特有の鳴き声をよく聞くようになった」とも言います。そして、こういった時期に出産をする猫、そして産まれてくる子猫は他猫からの攻撃などで、過酷な生活になることが多いとも。
こういう事態が防ぐためにも、未手術の野良猫にはやはりTNRを実施することが望ましいです。スタッフは特に地域の餌やりさんなどで、野良猫の世話をしてくれる人に対しても「どうかTNRを検討してほしい」とも語ってくれました。
(まいどなニュース特約・松田 義人)