停電の夜、外に出てしまった飼い猫 一週間彷徨い無事捕獲 飼い主に抱きしめられて申し訳なさそうな表情に
2023年11月、関西エリアのとある地域で突然の夜間停電が起きました。「何が起きたのだ」と多くの人たちは懐中電灯を手に屋外で様子をうかがっていましたが、そんな中で思わぬ事態が起きました。
民家で飼われていた猫が外に出てしまったのです。飼い主さんが停電騒ぎに気を取られ、扉を閉めずに外に出てしまったことが原因でした。飼い主さんは、あらゆる猫のサポートをする会社「ねこから目線。」に捜索の協力要請を依頼。同社スタッフはただちに飼い主さん宅へと向かい、まずはヒアリングから始めました。
■一度経験した猫は通常の「捕獲器」には入らない
脱走した猫の名は「みかんくん」。捕獲器を使って保護された元野良猫です。飼い主さんはみかんくんが逃げ出した後、自ら捕獲器を設置したものの、入ってくれたのは別の野良猫でした。
スタッフの経験上、一度捕獲器に入った経験のある猫や別猫が捕獲器にかかる様子を見た猫は「あの箱は捕まるところなのだ」と認識し、その警戒心から避けて通るケースが多いことを知っていました。そのため、飼い主さんが設置した捕獲器をいったん撤去してもらい、あらためてイチからみかんくんの捜索をすることにしました。
■「警戒心が強い猫用の捕獲器」を設置
スタッフはまず配布用の捜索願いチラシを作成し、ポスティングを行うことにしました。近隣の複数の場所にカメラを設置し、みかんくんが映り込んでくれることを期待しました。
カメラ設置の翌々日には、右耳に桜カットが入り、長い尻尾が特徴のみかんくんらしき猫が映り込みました。そして、その時間帯はいずれも夜間から深夜帯。暗い中での行動を好むようで、ここでスタッフは通常タイプの捕獲器を経験している猫にも使用できる「警戒心が強い猫用の捕獲器」を設置し、しばらく周辺で張り込むことにしました。
■無事にみかんくんを捕獲!
張り込みを始めてから45分ほど経過すると、捕獲器付近にみかんくんが姿を現しました。そして、一直線に捕獲器に向かい中に入ってくれました。捕獲器の中の安全な場所へ入ったみかんくんを確認したスタッフは捕獲器を作動させ、無事保護に成功しました。
■「もう絶対に脱走しないでね」
一週間ぶりにみかんくんに再会した飼い主さんは大喜び。抱きしめられたみかんくんは、安心したような、申し訳なさそうな複雑な表情を浮かべました。「しょうがないでしょ。あの停電の日は、僕だって怖かったんだから!」と言わんばかりです。
スタッフによれば、捜索に比較的スムーズに進んだのは、飼い主さんの家の周辺が林で、建物が密集するなど複雑な場所ではなかったことも幸いしました。
無事に家に戻ることができたみかんくんにスタッフは「こんなに優しい飼い主さんの家から外に出ちゃだめだよ」と声をかけました。
(まいどなニュース特約・松田 義人)