「お前は誰じゃ」命の恩人に塩対応 独占欲強めの保護猫は超のつく甘えん坊 紆余曲折の末に出会った大好きな飼い主さん
今から3年ほど前、とある会社の敷地内で生まれたところを保護されたオス猫・ジョンくん。
後に猫のあらゆるサポートを行う会社「ねこから目線。」で里親募集を行うことになりましたが、きょうだいが里親さんとのマッチングを果たした一方、ジョンくんには皮膚のトラブルがあり、本格的な里親募集に乗り出せないままでした。
人間大好きで、初めての人の前でもゴロニャーンと甘えてくるジョンくん。この甘えん坊ぶりから、「ねこから目線。」では後に提携する猫カフェにジョンくんを入店させることにしました。「ここで里親希望者さんとの縁があれば良いな」と期待してのことでしたが、しかし、ジョンくんはこの猫カフェで意外な一面を見せるようになりました。
■「人間の愛は俺だけが独り占めするのじゃ!」
人間には愛想ふりまくりのジョンくんでしたが、他の猫との相性が悪く喧嘩を売りまくっていました。
「人間の愛は俺だけが独り占めするのじゃ!」といった様子で他の猫にマウントを取るようにも見えるジョンくん。終始そんな態度では、他の猫たちにとって過ごしやすい環境ではありません。後に、猫カフェを退店し「ねこから目線。」シェルタールームで世話と里親募集を続けることにしました。
里親譲渡会にも複数回参加し、愛想の良さから声がかかったジョンくんでしたが、正式譲渡には至りませんでした。
■里親希望者さんが現れトライアルを実施
他の猫は嫌いでも人間のことは大好き、いつでもどこでも人間ウェルカムなジョンくん。なかなか里親さんにつないであげられないことを申し訳なく思うスタッフでしたが、今年に入って里親希望者さんからの申し出がありました。
この方には先住猫もおらず、ジョンくんを思いっきり甘やかせてくれる環境だといいます。ただし、甘えん坊である一方、やや極端な面もあるジョンくんです。一定期間のトライアルを実施後、判断することになりました。
■3年前の保護主さんに塩対応
しかし、そんな心配は杞憂に。里親希望者さんの家に着いた瞬間、「ここは俺の家なのじゃ!」と言わんばかりになじみ、そんなジョンくんを里親希望者さんも愛おしく思いました。
数日後には、「もともとこの家の飼い猫だったの?」と思わせるほどにズッシリ構え、見事ジョンくんはこの家で幸せな猫生をつかむことになりました。
ジョンくんは里親さんが仕事から帰ってくると「ねぇねぇ!」と甘えてくるそうです。その報告を聞いて最も喜んだのは、3年前の保護主さんでした。
後日、ジョンくんの幸せな生活をのぞきに、里親さんの家にお邪魔しましたが、当のジョンくんは保護主さんを前に「ん? お前は誰じゃ」とまさかの塩対応。ションボリする保護主さんでしたが、「今のジョンくんが幸せである証拠」と、ずっとのお家をつかんだことを祝福するのでした。
(まいどなニュース特約・松田 義人)