春になると届く自動車税の通知、滞納したら? 延滞金・差し押さえの可能性【弁護士が解説】

自動車税(および軽自動車税)は、4月1日時点のクルマの所有者に課される税金です。翌年3月31日までの分を、原則は一括で払うこととされています。納付書は5月上旬に届き、納付期限は一部自治体を除き基本的には5月31日です(※青森県、秋田県は6月末日)。

この支払期限を過ぎても自動車税が未納の場合、以下のような不都合やペナルティがありますので、注意が必要です。

■延滞すると様々なペナルティ

▽車検が受けられなくなる

車検を受けるには、自動車税の払い込みが完了したことを示す「自動車税納付証明書」が必要です。これがないと車検が受けられないため、クルマに乗ることができなくなります。

ちなみに車検を受けずに公道を走ると違反となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を課される可能性があるほか、交通違反点数が6点加算される可能性があります。(なお、違反点数6点は1発免許です。)

▽延滞金が発生する

支払い期限の翌日から実際に支払う日まで、以下の利率で延滞金が発生します。

・納期限の翌日から1か月を経過する日までの期間 2.40%

・納期限の翌日から1か月を経過した日以降の期間 8.70%

※延滞金の利率は年によって変わります。

【延滞金の計算方法】

例えば50日延滞した場合は、延滞金は以下のように計算します。

延滞金額=【納付書の税額×30日(最初の1か月分)×利率2.6%÷365日】+【納付書の税額×20日(50日-30日)×利率8.9%÷365日】

【延滞金は1000円未満は切り捨て】

ただし延滞金が1,000円未満は切り捨てとなります。

もともとの税額により変わりますが、現在の自動車税の最高税額である11万円の場合でも、30日延滞した場合の延滞金は235円なので、まだ切り捨て対象です。「督促状が来て未納だったことに気づいた!」という場合には、延滞金が発生しないうちに早急に納付するのがお勧めです。

▽財産が差し押さえられる

督促状が来ても自動車税を未納のまま放置し続けると、最終的には、預貯金や給与などが差し押さえられる可能性があります。

地方税法第331条第1項には「徴税吏員(市長から委任を受けた職員)は督促状を発した日から10日を経過した日までに完納しないときは財産を差し押さえなければならない」

との規定があります。必ずしも法文通りの差し押さえ処理がされるわけではありませんが、滞納を続けていればいずれは滞納処分として財産の差し押さえがあることは理解しておきましょう。

■延滞した場合の流れ

自動車税を滞納した場合、一般には以下のような流れで督促や差し押さえが行われることが多いです。

1)期限後20日以内に、未納を知らせる「督促状」が届く

2)差し押さえの可能性を伝える「催告書」が届く

3)最後予告となる「差し押さえ予告通知」が届く

4)差し押さえが実行される

ただしこれは自動車税を滞納し続け、また県税事務所や市町村の納税課にも何の連絡もしなかった場合です。まずは督促状が届いたタイミングですぐに支払えないという場合は、納税先にどのように対応するべきかを相談するようにしましょう。

■滞納に気づいたら早急に対応を

自動車税の滞納に気づいたら、できるだけ早く納付するのが第一です。先述のように、滞納期間が短ければ、延滞金を支払わずに済ませることができます。

また「どうしても自動車税の支払いが難しい」という場合には、支払い期限を待たずに、すぐにでも県税事務所や市町村の納税課に相談しましょう。災害や盗難、病気や負傷、事業の廃止や損失など「やむを得ない」と認められた場合には、1年以内の分割納付が認められることもあります。

また自治体によっては支払い期限の延長など独自の措置をとっているところもあります。自動車税の場合は都道府県、軽自動車税の場合は市町村の管轄ですので、お住いの自治体のホームページなどを確認してみてください。

【自動車税滞納に関する弁護士のコメント】

公租公課についての処分は非常に厳格であることが一般的です。たかだか自動車税と思って支払いを怠っていれば、想定外の不利益を被ることもあり得ます。納税は全国民の義務であることから、課税当局も特別扱いはできません。必要な納税ができないようなことがないよう十分気をつけましょう。

(まいどなニュース/norico)

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