生活困難になった飼い主と離れ離れ ミックス犬は愛護センターで希望のない顔をしていた 第2の犬生のために日々トレーニング
2023年11月、千葉県動物愛護センターの檻の柵に鼻をつけ、望みを失ったかのようなワンコがいました。パピヨンとチワワのミックス犬で、推定7~8歳ほどの「さくや」というオスです。センターの職員によれば、飼い主は生活困難になり、飼っていたさくやを世話しきれなくなり、センターに持ち込まれたのだそうです。
保護団体・アイドッグ・レスキュー隊のスタッフは、飼い主から放棄されたことを悲しく思いながらも、寒空の下に放り出されなかったことだけが救いとし、「これから温かい家族を探そうね」と保護しました。
■「囲いは嫌!」とキッチンのシンクにジャンプ
さくやは預かりボランティアさんの家でしばらく過ごすことになりましたが、先住犬ともすぐになじみ一緒に散歩に行き、センターにいた頃とは違う穏やかな表情を見せてくれるようになりました。
ただ、センターにいた頃を思い出すのか、サークルを極度に嫌がり、鉄格子を噛んでサークル全体を破壊しようとすることがありました。あまりの嫌がりぶりを前に、預かりスタッフさんがさくやを部屋の中でフリーにしてあげると、今度はキッチンのシンクの中にジャンプして過ごしていました。
「猫か!」とツッコミを入れる預かりボランティアさんでしたが、囲われることがやはり嫌で、かと言ってみんながいるフリーの場所も不安。結果的にキッチンのシンクの中が「僕だけの城」と思っているようにも感じられました。
さくやは他の先住犬に何度もちょっかいをかけ嫌がられたり、預かりボランティアさんにメチャクチャ甘えてきたりと、とにかく行動が過剰。後に去勢手術を実施すると、比較的落ち着きを見せるように。当初のさくやの過剰な行動は、「発情していたのかも」とも思われましたが、その後もたびたびヤンチャぶりを発揮するので、やはり性格に起因するようです。
■今日もさくやは日々成長中
そんなさくやですが、預かりボランティアさんや先住犬と日々触れ合うことで、少しずつ社交術を学習し、第二の犬生へ向け成長中。推定7~8歳からのトレーニングはそう簡単なものではありませんが、預かりボランティアさんは根気強く接し続けています。
預かりボランティアさんのお世話の根底にあるものの一つは、かつてのさくやが大好きだったであろう飼い主と離ればなれとなったこと。独特の性格の「良いところ」を残しながら、今度こそ幸せな第二の犬生へ結んであげられることを諦めず、毎日さくやと過ごしています。
(まいどなニュース特約・松田 義人)