自宅の敷地内で倒れていた猫を保護、懸命な看病とリハビリで奇跡の回復…今ではおしゃべり大好き猫ちゃんに成長
■倒れていた動物、帰宅したら「助けて」
レオくん(3歳10ヶ月・オス)は、Aさん宅の敷地内に倒れていた。Aさんは出勤する時に何か倒れている動物がいるのは見かけたが、離れたところだったので猫なのか何なのかも分からず、急いでいたためそのまま出勤したという。2020年7月15日のことだった。
「その日は忙しくて22時頃に帰宅しました。土砂降りでした。倒れていた動物のことも気になっていたのですが、元の場所にはいなくて安心しました。ほっとしたのも束の間、植え込みからニャ~っという鳴き声がして、『えっ!』と思ったら、猫が『助けて、ニャ~』と鳴いていたのです。マジっ!?って思いました」
Aさんは、レオくんを拾い上げ、すぐにお風呂直行した。ずぶ濡れで泥んこだったので洗ってみたら、真っ白になったという。翌日、獣医師に診せた時、「雨に濡れて低体温になっていたので、シャワーで温めて良かった」と言われたそうだ。
よく見てみると、レオくんはガリガリで目もろくに開いていなかった。食べ物をあげたかったが猫にあげらるものはなく、Aさんは牛乳を布に染み込ませて吸わせた。
「猫を飼ったことがなかったので、次はベッドをどうするか悩みました。急遽、ダンボールにタオルをたくさん敷いて、そこで休ませました。時間は既に深夜1時を回っていたと思います。翌朝、レオはダンボールの中でスヤスヤ寝ていました。牛乳を与えて会社に行ったのですが、気になったので定時に帰り、急いで動物病院に連れて行きました」
獣医師は、「この三日間が山場。元いた場所に戻した方がいい」と言った。しかし、元の場所もAさん宅の敷地なので、治療をお願いしたという。
「体重は400gしかありませんでした。クラミジアにかかっていて目は開かず、栄養状態もだいぶ悪い状態でした。骨折はしていませんでしたが首の辺りに傷があって、カラスに襲われたんじゃないかということでした」
■歩けなかった猫が!
Aさんは一生懸命レオくんの看病をした。
「ペット用の哺乳瓶も持っていなかったので、とりあえず植物用の液肥ボトルをよく洗って哺乳瓶の代わりにしました。牛乳も猫用ミルクがあると知って、途中から猫用に切り替えました」
レオくんはなかなか歩くことができなかった。Aさんは毎日会社から帰るとレオくんの脚を動かすリハビリをした。変化が見え始めたのは3週間くらい経った頃だった。レオくんは感情を表すようになり、奇跡的に後ろ脚が動くようになった。
「後ろ脚が動くだけだと頭を中心にぐるぐる回るばかりで涙が出ました。奇跡が起こったのは8月12日の朝のことです。それまで、朝起きると私の布団の上でピョンピョンジャンプしていたのです!信じられない光景で感動しました」
■おしゃべりでいたずら好き
Aさんは、当初、元気になったらレオくんを外に返すつもりだった。しかし、すっかり情が移ってしまい、迎える決心をしたという。
レオくんは、とても穏やかな猫になった。
「生後1ヶ月くらいの赤ちゃん猫の時に迎えたからでしょうか。シャーっと怒ったところは見たことがありません。後から来たアンちゃんともとても仲良くしています」
レオくんは実によく喋る猫で、「ドアを開けて」「遊んでくれ」「お腹空いた」「撫でて」など要求をする。さらに、朝は早朝に叩き起こしてくれるという。
「朝5時過ぎにはきちんと起こしてくれます。我が家は早寝早起きになりました(笑)最初は高くて優しい声で起こすのですが、なかなか起きないと、喉を鳴らして怒っている声に変わります。まさに人間です。毎朝一緒に庭に出て散歩してラジオ体操もしています」
さらに最近は、人をビックリさせるのがちょっとしたマイブームのようになっているというレオくん。「カーテンの影に隠れて脅かすとか、いろいろ企んでいます。きっと面白いんでしょうね(笑)よく笑わせてもらっています」
いつしかレオくんはAさんにとってなくてはならない存在になっていた。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)