飼育放棄されたの?しがみついて離れなかった保護犬 時折悲しげな顔をする甘えん坊に朗報が届いた

長毛のワンコが保健所などに収容された場合、鎧のような毛をまとっていることが多く、そういうワンコは収容期限が切れても飼い主の迎えは期待できません。

2024年、群馬県動物愛護センターに収容されたメスのプードルミックス・柚子も毛玉がぐちゃぐちゃ、真菌などによるものか異臭を放ち皮膚病もあるようで、体中がベトベトでした。愛されてきたワンコではないのは一目瞭然です。

保護団体・Delacroix Dog Ranch(以下、D.D.Ranch)のメンバーはセンターで柚子の存在を知り、抱っこしてあげました。不安げな表情を浮かべる柚子でしたが、その伸びすぎた爪でメンバーにぎゅっとしがみついてきました。

■プードルミックスなのに複数回の出産の跡

メンバーは柚子を引き出すことにしました。

保護後、柚子の体をよく見るとプードルミックスであるにもかかわらず複数回の出産の形跡がありました。特定犬種でもないのに複数回の出産とは、意図的な繁殖というより、複数のワンコが適切なお世話をされず、野放しのままで育てられていたのかもしれません。

こんな柚子をかわいいワンコに変身させ、人間から愛される存在にしなければいけません。メンバーはまず自宅で柚子の体をきれいにし、皮膚病には適切な医療ケアを施し治療を重ねながら、世話をすることにしました。

■甘えながらも時折見せる悲しそうな表情

迎えられた柚子は当初こそ不安げな表情でしたが、たっぷりの愛情を受けるうち「ここではもう怖い思いをすることはないのね」とリラックスして過ごすようになりました。

食いしん坊な面を見せるようになり、人間が食事をしていると、「私にもちょうだい!」とアピール。メンバーの家にいる先住犬との社交性バッチリで、嫉妬して吠えるといった様子は見せません。抱っこされると居眠りしてしまうような穏やかな性格でした。

ただし、時折見せる悲しそうな表情は、心の傷の深さを物語るものであり、その寂しげな顔を見るたびに胸が締め付けられます。

■課題を一緒に乗り越えてくれる里親希望者さんが現れた

保護当初に比べればだいぶ良くなったとはいえ、まだまだ完全に回復したとは言えない状態でした。皮膚病についても治療が続いていました。「まだ心の傷は癒えない様子だし、治療も引き続き行う必要があるし、里親さんとのマッチングはまだしばらくかかるだろう」とメンバーは考えていました。

そんな折、「迎え入れたい」と里親希望者さんが現れました。柚子を迎え入れるにあたっては治療を継続し、たっぷりの愛情を注ぐことが必要です。里親希望者さんはこれらを全て理解した上での申し出でした。

柚子はこの優しい里親さんのもとで「心から愛される暮らし」を手にすることができました。

乗り越えなければいけない課題がまだまだ多くあります。ここまでがんばって生き抜いてきたのだから、これらの課題も、今後優しい里親さんと一緒にきっと乗り越えてくれることでしょう。柚子、頑張って!

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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