住宅ローンでの「ペアローン」利用率は約1割 利用率の高い20代、30代は借入金額も高額化
三井住友信託銀行株式会社(東京都千代田区)が設置している『三井住友トラスト・資産のミライ研究所』は、このほど「住まいと資産形成に関する意識と実態調査(2024年)」の結果を発表しました。同調査によると、ペアローンの利用率は約1割となりました。また、単独ローンよりもペアローンのほうが、借入金が高額化していることが分かったそうです。ペアローンに向いているのはどのような世帯なのでしょうか。
調査は、全国の20~69歳の男女(ただし関連業種=金融、調査、マスコミ、広告従事者を除く)1万811人を対象として、2024年1月にインターネットで実施されました。
まず、調査対象者のうち、自宅を保有している3592人に対して「住宅ローンの利用有無」を調べたところ、「住宅ローンを利用している(住宅ローンがある:返済中)」は34.1%、「利用していた(住宅ローンで住宅を購入したが、返済完了した)」は42.2%、「利用していない(住宅ローンがない)」は23.7%となり、これらを合わせると住宅ローンの利用経験者は76.3%でした。
また、住宅ローン利用経験がある2735人に「借入形態(単独ローン・ペアローン)」を尋ねたところ、「単独ローン」の利用率は68.3%、「ペアローン」の利用率は10.8%でした。なお、ペアローンの利用率が高かったのは、「20代」(16.5%)と「30代」(18.6%)で、全年代と比較するとおよそ1.5倍の水準であることが分かりました。
次に、住宅ローンの借入形態による、住宅ローンの当初借入金額(中央値)」を比較したところ、いずれの年代においてもペアローンのほうが単独ローンよりも当初借入金額が高額化していることが分かりました。
特に「20代」(ペアローン4100万円、単独ローン2167万円)や「30代」(ペアローン3412万円、単独ローン2858万円)では当初借入金額の高額化が目立っています。
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なお、同研究所は「ペアローンのメリット・デメリット」および「ペアローン向きの世帯・不向きの世帯」について、以下のように解説しています。
ペアローンは、「借入額が大きくできることで物件の選択肢が広がる」「住宅ローン控除の要件を満たした場合、それぞれが住宅ローン控除の適用を受けることができる」などのメリットが期待できます。
その一方で、「子育て」「介護」「転職」といったライフイベントによって、いずれかの収入が大きく減少した場合であっても、「返済を継続できるか」という点を、長期の目線で十分に検討しておくことが望まれます。
例えば、将来においてペアを解消(離婚など)することになった場合の選択肢として、「住宅を売却する」と「所有を続ける」に大別できますが、共有名義の場合、パートナー双方の「売却同意」が必要になります。
片方が売却を拒否する場合は、売却することができません。売却に同意した場合でも、「物件を売却してローンを完済する」ことが可能であればよいですが、債務が残るケースでは返済が困難になることもあります。
上記のメリット・デメリットを踏まえて、「ペアローン向きの世帯・不向きの世帯」を考察すると、「ペアローン向きの世帯」は、「夫と妻のどちらも安定的で十分な収入がある」「ローン完済までは共働きの予定が立っている」「今後ライフプランが大きく変わる予定がない」「十分な生活防衛資金を確保できている」など、万が一のトラブルにも対応できる可能性が高い世帯に向いているといえます。
一方、「ペアローンに向いていない世帯」については、「夫と妻のどちらか一方の収入が不安定である」「今後ライフプランが大きく変わる予定がある」「十分な生活防衛資金を確保できていない」といった返済計画がしっかりと見通せない世帯には不向きといえるでしょう。
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