横隔膜破裂した野良の子猫「手術しかない」「助けたい」わが子に迎えた煮干し大好きにゃんこ

シュリちゃん(3歳・メス)は、奈良県在住の谷さん宅の庭で生まれた。谷さん一家が5年ほど見守っていた外猫が3匹の子猫を産んだうちの1匹だった。

「当時、他の外猫もたくさんいて、ごはんをあげながら見守っていました。しばらくはシュリを含む兄弟猫3匹で元気に走り回ったり、お母さんのお乳を飲んだり、すくすく育っていました。」

それから4ヶ月が経ち、10月に入ってすぐのこと。お父さんが家に帰ると、元気に走り回っていたシュリちゃんが全く動かずその場にじっと座っていた。なぜか母猫や兄弟達は見当たらず、明らかに様子がおかしかった。

「心配した父が病院に連れて行き、ひと通り診察や応急処置をしてもらい、その時はそのまま家に連れて帰りました。でも、2日ほど様子を見ても、呼吸の状態がおかしいので再び病院へ。風邪で呼吸がしんどいのかもしれないと追加でお薬をもらい、もう少し様子を見ることになりました。」

しかし、シュリちゃんはごはんをあまり食べず、呼吸の状態も良くならなかった。

「詳しく調べてもらうために再び病院を訪れました。レントゲンなど検査をしたら、なんと横隔膜が破裂していたのです。獣医さんは、車とぶつかったか、人の手でやられたのではないかとおっしゃっていました。」

横隔膜が破裂したままでは命の危険があるので、治すためには手術をしなければならなかった。谷さん一家は、その場で手術してもらうことを決断したという。

「成功する可能性は五分五分と言われており、不安でいっぱいでした。でも、『手術をしないと助からない』と聞いたからにはなんとか助けてあげたい、その一心でした。想像以上に酷い状態で、時間のかかる大手術でした。手術は無事に終わって、家族みんなでホッとしたのを今でも覚えています。」

■たくましく強い女の子になってほしい

シュリちゃんは一週間入院し、谷さんは様態が急変しないか毎日ドキドキしながら面会に行った。

「元気になったら外のお母さんや兄弟のところに戻してあげようと考えていました。でも、怪我のことなどを考えると野良で生活をしていくのは難しいのではないかと獣医さんがおっしゃったので、家族として迎え入れる決断をしました。」

谷さんは獣医師と看護師への感謝の気持ちが強かったので、看護師に名前を付けて欲しいとお願いをして、「シュリ」という名前になった。

「海外映画のたくましく強いヒロインの名前だそうです。たくましく強い女の子になってほしいという想いが込められています。」

シュリちゃんは大人しくて人間が苦手。ごはんの好みが難しい。おやつも他の子が喜んで食べるちゅ~るは食べず、煮干しが好きだという。今ではトンネルや猫じゃらしが回るキャッチミーというおもちゃで元気に遊んでいるそうだ。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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