元気と癒しをくれたタンタン…ありがとう、さようなら 28年の生涯終えた“神戸のお嬢様”の追悼式

神戸で長年暮らし、桜の季節に28年の生涯を終えた市立王子動物園のジャイアントパンダ、タンタン(旦旦、メス)。多くの人を笑顔にし、癒してくれたことに感謝する「タンタン追悼式」が5月10日、同園内のホールで開かれました。地元住民やファン、園職員らが参列。ライブ配信も行われ、園内はスマホなどで視聴する多くのファンの姿がありました。「とても温かい式」「一緒に送れてうれしい」と大切な存在に思いを馳せ、ひとつの区切りとなる日を共有しました。

タンタンは、阪神・淡路大震災が起きた1995年に中国で誕生し、2000年に来園。復興へ奮闘する人々を元気づけてきました。自身は待望の赤ちゃんを生後数日で失い、パートナーのオスにも先立たれる苦難も。それでも懸命に生きる姿に多くの人が励まされ、のんびりマイペースな様子に魅了されてきました。

ここ2年ほど心疾患の治療や検査のため非公開となり、今年3月31日、28年の生涯を終えました。式参列の一般募集は100人枠に約4000人もの応募がありました。

追悼式で、約15年間タンタンを担当した飼育員の吉田さんは「そちらでは体が楽になって仲間とのんびり過ごせているといいですね。好きな竹を探したり、誕生日にはケーキを用意したりしましたね。ブラッシングもたくさんしましたね」と振り返り、「あなたのおかげでパンダの病気について分かったことが多くあります。大きな功績を残してくれてありがとう。できることなら、どんな形でもいいから会いに来てほしい」と語りかけました。

公式SNSでタンタン情報を毎日発信してきた担当歴16年の梅元さんは「頑張り屋さんの賢い子でした。僕にとって家族や友達に近いような存在。大好きなタケノコを食べる姿をもう見られないのはさびしい」と話しました。また、ファンに向けて「最後の瞬間までタンタンは頑張って生きてきました。悲しいだけの思い出にしないで、みなさんを笑顔にしてくれたタンタンを、輝いていたたくさんの瞬間を、時々でも思い出してほしい」と呼びかけ。タンタンの写真に向き直り、「よく頑張ったね。ゆっくり休んでね。ありがとう」と声をかけました。

式では、王子動物園近くの青谷愛児園の園児が「ありがとうの花」の歌を披露。タンタンが笑顔の種を蒔いた街で育つ子どもたちの元気な歌声に、会場から大きな拍手が起きました。

式の後、飼育員らはあらためて取材に応じ、「献花を整理する時にメッセージを全部読んでいます。写真も添えてもらって、いろいろと思い出します」と吉田さん。梅元さんも「朝、パンダ館のモニターでタンタンの姿を探してしまうんですよ」と話しました。

同園は、中国返還が決まった際の「ありがとうタンタン」キャンペーンで使用してきたロゴを少し変えて、タンタンが左手を高く上げるデザインに。特設サイトを近日公開予定。

同園ではタンタンゆかりの品や写真を展示する特別展を9月1日(日)まで開催中。

(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)

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