僕にはお迎えは来ないのかな 保護犬は6年間仲間の幸せを見送り続けた 待ちに待った「うちにおいで!」

2016年、動物愛護センターに収容されたところをピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)に保護された真っ白の元野犬・おさむ。

3歳ほどで、元野犬らしく他のワンコとのコミュニケーションはバッチリ。やや頑固な一面がありながらも性格は穏やか、健康状態問題なしのワンコでしたが、どういうわけかご縁に恵まれません。

いつも一緒に遊んでいた仲間のワンコが1匹、また1匹と里親さんとマッチングを果たします。おさむは、ずっと仲間の背中を見送り続けました。

■来る日来る日もおさむの幸せを願い続けた

ピースワンコには、持病のあるワンコ、高齢のワンコなどを生涯世話する施設もありますが、おさむはそこで過ごすには若すぎます。

仲間の幸せを見送り続けた健気なおさむに、幸せが訪れるようスタッフは諦めませんでした。年始には「今年こそはおさむの『ずっとのおうち』が見つかって欲しい」と願をかけ続け、ついに「おさむを迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。

■「おさむじゃなくちゃダメなんだ。うちにおいで!」

里親希望者さんとのお見合いをするため、スタッフはケージで過ごしていたおさむに声をかけました。

「スタッフさんなになに? いつもの遊びの時間とも違うし…もしかして僕にもお迎え!?」

そんな表情を浮かべおさむは喜びと緊張が入り混じるように、ムクっと立ち上がりケージの外へと出ました。そこで初めて見る里親希望者さんと出会います。

どこか緊張気味のおさむ。「6年も縁がなかった僕なんかで良いんですか」と言わんばかりでしたが、里親希望者さんはそんなおさむを愛おしく思いました。そして「うちにおいで!」と体を優しくなでてあげました。

■里親希望者さんのリードの先で「クン活」

お見合いの日、おさむは里親希望者さんと散歩の練習をしてみることにしました。ここでも「僕なんかでいいんですかね」と言わんばかりに疑っている様子。普段とは違う、気乗りしなそうな足取りで、おさむは里親希望者さんの後をついていきました。

ほどなくしてしっかり歩いてくれるようになり、後にはマイペースに地面をクンクン。警戒する人の前ではまずしないという「クン活」を、里親希望者さんが持つリードでし始めたことから、おさむが信頼を寄せていることが伝わってきました。

■「いつまでもおさむらしく元気で過ごしてね!」

そしておさむはこの優しい里親さんの元へと巣立っていくこととなりました。

この6年間、おさむの卒業を心待ちにし、世話を続けたスタッフはこう語ってくれました。

「おさむとしばらく会えなくなるのは正直寂しいけれど、それよりも他のワンコの幸せを見届け続けたおさむが、幸せをつかんでくれたことが何よりです。おさむ、本当におめでとう。いつまでもおさむらしく元気で過ごしてね!」

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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