【住宅ローン】ペアローンの借入金額が高額化 3000万円以上の割合が約6割とこの10年間で3倍に
三井住友信託銀行株式会社(東京都千代田区)が設置している『三井住友トラスト・資産のミライ研究所』は、このほど「住まいと資産形成に関する意識と実態調査(2024年)」の結果を発表しました。同調査によると、住宅ローンの借入金額が「3000万円以上」の割合は、単独ローンが4割弱だったのに対して、ペアローンでは約6割となり、この10年間で高額化していることが分かりました。
調査は、全国の18~69歳の男女(ただし関連業種=金融、調査、マスコミ、広告従事者を除く)1万948人を対象として、2024年1月にインターネットで実施されました。
借入金額について、「3000万円以上」の割合を単独ローン(住宅ローンの借入に際して、1人で借入れを行うケース)とペアローン(夫婦やパートナーと2人で借入れを行うケース)に分けて分析したところ、「単独ローン」は1993年以前は14.8%だったのに対し、その後徐々に増加し、2014年~2023年では38.3%と2倍以上となりました。
一方、ペアローンでみると、1993年以前の22.7%に対して、2014年~2023年の10年間で60.1%とおよそ3倍になっています。また、借入金額が「5000万円以上」では、2014年~2023年には17.3%と、同時期の単独ローンの割合(6.5%)の3倍以上となっており、単独ローン以上に高額化しているという実態が明らかとなりました。
借入額の高額化は、家計に占める返済の負担増につながることから、「返済比率(年収に占める「年間返済額の割合」)」について調べた結果、1993年以前は「世帯年収の1割」が26.0%、「2割」が41.1%、「3割」が25.8%と、全体のおよそ92.9%と大半を占めていました。
また、2014年~2023年の10年間でみても、「世帯年収の1割」が22.6%、「2割」が38.0%、「3割」が26.7%と全体の87.3%を占め、どの借入時期においても9割前後が1~3割に収まっていることが分かりました。
借入金額が高額化しているにもかかわらず、返済比率にさほど変化がみられないのはなぜなのでしょうか。同研究所では、その背景の1つである「借入期間」に着目。
その結果、1993年以前は、借入期間が「20年以上~25年未満」が26.7%、「25年以上~30年未満」が26.0%と、20年以上~30年の設定が半数超であり、30年以上の借入れは21.7%だったのに対して、2014年~2023年では、「30年以上」の借入れが61.0%と約3倍に増加していることが分かりました。
このように、継続的な不動産価格の高騰や所得の伸び悩みが背景にあることについて同研究所では、「借入金額は大きくならざるを得ない、しかし毎月の返済は一定額に抑えたいので借入期間を長期化することで対応したいというニーズが増加してきたのではないか」と考察しています。
また、借入期間による返済額の変化については、「借入金額・金利が同じ条件であれば、借入期間が長い方が月々の返済額は少なくなる半面、総支払い利息は多くなります」とする一方で、「返済比率が低いほど、負担感は小さくなり資産形成との両立もしやすくなる傾向が見て取れたとはいえ『返済期間を長くすることで返済比率を下げるという対応策』の検討には慎重さが求められます」ともコメント。
これらを踏まえて同研究所は、「今後、”金利ある世界”の到来に向けて、住宅ローンの借入期間は、『借入金利』『毎月の返済額』『完済しておきたい年齢』を踏まえたうえで検討することがポイントになってくることと思われます」と述べています。