平和の象徴…?日本全国に点在するたぬきの置物、なぜ人気なのか【たぬき学会会長に聞いた】

SNSに日々投稿される「#街角狸」には、さまざまなアカウントから、日本全国に点在しているたぬきの置物の画像が投稿されています。夫婦のたぬき、服を着せてもらったたぬき、痩せたたぬき、など様々。日に褪せても汚れても笑みを絶やさぬ軒先のたぬきは、ほっとできる風景ではないでしょうか。日本たぬき学会会長であり、たぬきの置物を研究するむらたぬきさんに話を聞きました。

◇  ◇ ◇

--たぬき学会とは?

むらたぬき:たぬきが好きであれば誰でも入れる団体です。学会っていう名前もシャレで、まじめに活動していることを知ってもらうために付けてるだけなんです。1年に1回、神社仏閣や民話の元になっている、たぬきにゆかりのある土地で集まって総会を開いています。

成り立ちは少し複雑で、元々は1998年に動物のたぬきの研究をされている方がまず、日本たぬき学会を立ち上げました。その後2009年に、信楽焼のたぬきの置物を研究している、しがらき狸学会と合併したんです。一言でたぬきが好きと言っても色々ありまして、まず動物のたぬき、そして昔話や民話に出てくるキャラクターのたぬき、置物のたぬきがいます。これを私は「たぬきの三位一体」と呼んでいます。なので、民話や、たぬきグッズ収集家、たぬきの写真を撮影されている方など、様々な方が在籍しています。

--たぬきにハマったのは?

むらたぬき:元々、2010年頃に神奈川県の茅ケ崎市を歩いていて、近所の駐車場にあるプランターに、たぬきの置物が植えられてたんです。すごく傷んでいて、本来縁起物であるたぬきがこんな扱われ方をしているのか!と目が離せなくなりました。その後、他のたぬきの置物も観察してみると、持っているものが違うとか、バリエーションがあって写真を撮り始めたのがきっかけです。

--その魅力とは?

むらたぬき:「#街角狸」を付けてSNSにみんなに写真をあげてもらって、それを研究しているのですが、日本全国どこにでもあるんですよ。信楽で年間約10万体つくられて、全国に広まっている。こんなに広く普及しつつ無造作に置いてある人形は海外にはないですよね。動物のたぬきもなわばりもなく、争いも好みません。そこから転じて、焼き物になっても笑顔を振りまいてみんなに福をもたらす存在です。そんな置物が日本中にある、というのが、まさに平和の象徴なのかなと思っています。

--たぬきの置物にもトレンドはあるんでしょうか

むらたぬき:たぬきは化ける、という発想が元々あるので、ラグビーが流行った時にはラグビーボールを、サッカーが流行った時にはボールを持っているたぬきがありました。コロナ禍では、アマビエたぬきもいたんですよ!応用が効く、というのが、たぬきの置物のおもしろいところのひとつです。元々たぬきは化けると言われているので、自由な発想で作られているようです。

--ご自身でもたぬき作品を制作していますね。

むらたぬき:マニアフェスタというイベントに出ることになり、色々グッズを作ったんですが、いつもは動けない置物のたぬきが、動いたらおもしろいなと思って、マリオネットにしました。初めて作ったので、手足が異様に長くなってしました(笑)。他にも「たぬきおじさんの手ごねブローチ」なども作っています。

◇  ◇ ◇

むらたぬきさんは昨年、たぬきについてさまざまな方面の専門家が語る「たぬきの本 里山から街角まで」を上梓。今後、海外へのPRも検討しているということです。

日本語には「たぬき寝入り」や「たぬき親爺」「たぬきの金玉は千畳敷」など、少し滑稽ながら憎めないことわざがあり、日本人のたぬき愛の歴史を感じさせます。たぬき学会はたぬきへの愛があれば誰でも入会できるとのこと。興味ある方はいかがでしょうか。

(まいどなニュース特約・ゆきほ)

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