漫画家夫婦が、公園で出会った野良猫たち…「仕事ができた恩返し」に、一軒家を購入して保護 はたして2匹の新生活は?
2匹の猫との出会いで人生が大きく変わった--。そんな経験をしたのは、漫画家の汐里さん。
汐里さんは、公園で出会った2匹を迎え入れるために一軒家を購入。猫ファーストな人生を歩むようになりました。
■公園で出会った2匹の野良猫
4年前、汐里さんは自宅の近所にあった野良猫が住み着いている公園へ通うように。猫カフェに行く感覚で、お目当ての野良猫と触れ合っていました。
しかし、その野良猫が突然いなくなり、チャくんとクロくんが公園を縄張りにするようになったそう。
夫婦ともに漫画家である汐里さんは、チャくんたちと触れ合いつつ、2匹をモデルにした漫画『勇者のひざには猫がいる』を制作しました。
「当時は夫婦ともに、しばらく仕事がなかった時期でした。2匹をモデルにした漫画を描いたら連載が決まったんです」
こうしてチャくんたちとの距離が近づくと、汐里さんは2匹が置かれている状況に胸を痛めるように。チャくんたちは何人かの餌やりさんからご飯を貰っていましたが、日々の暮らしは大変な様子。
愛着も湧き、汐里さんは「仕事ができた恩返しに保護したい」と思うようになりました。
しかし、当時暮らしていたのは飼育不可の賃貸。大家さんに相談するも許可は、貰えず。ペット可の物件を探しても、猫が2匹飼育できる賃貸物件は限りなく少なかったそう。
そこで、汐里さん夫婦は大きな決断をします。なんと、チャくんたちと暮らすために思い切って家を買うことにしたのです。
■スタートした家猫ライフ!野良時代とは真逆の性格になった2匹
購入したのは、中古住宅。リビングが暗かったため、吹き抜けを作り、日当たりと風通しのいい家になるようにリフォーム。キャットウォークが設置できるよう、壁には板を入れてもらいました。
リフォーム後、汐里さんはすぐに公園で2匹を保護。出会いから3年経った2023年10月、チャくんとクロくんは野良生活を卒業したのです。
お迎え後、クロくんは環境の変化に戸惑い、2日間ケージの中に引きこもり。チャくんは逆に、ケージが苦手なようで暴れてしまったため、部屋の中で過ごしてもらいました。
その後、徐々に家での生活に慣れていった2匹は野良時代とは違う顔を見せてくれるように。
「賢くて大人しく、愛想がよかったチャちゃんは家に来てから、スプレーしまくりで寝ている時以外、ほとんど鳴いている問題児です(笑)家慣れは、まだしていません」
対してクロくんは本気の爪パンチをする子でしたが、よく寝て、よく食べる優等生に豹変。大人しく穏やかに家猫ライフを満喫してくれるようになりました。
「クロは猫じゃらしでの遊び方が変(笑)あと、2匹とも異常に膝が好きです」
■「戦友」のような関係性の2匹を愛でる日常
一緒に生き延びてきた2匹は、さぞ仲良しなのかと思いきや、実は性格が合わず、今でも喧嘩をし、ほどよい距離を保つ複雑な関係性です。
「2匹は公園でもともと別々に過ごしていましたが、クロはチャちゃんが人間に餌を貰っている姿を見て、マネをするようになり、なんとなく一緒にいるようになったんです」
野良時代、チャくんはつきまとわれて迷惑そうな素振りをすることはあったものの、体調が悪い時には小雨降る草むらの中、クロくんと寄り添い、丸くなっていたことも。餌やりさんが来た時には、どちらか片方がもう片方を呼びに行く姿も見られていました。
「仲良くはないけれど、協力して厳しい生活を生きて抜いた戦友みたいな感じなのかもしれません」
そんな2匹の共通点は、高い所に登ることを好まないところ。そのため、設置予定だったキャットウォークは保留中。汐里さんは今後、柵で囲んだウッドデッキの「猫庭」を作るなど、自宅を改良しながら愛猫たちがより心地よく過ごせる空間を作っていこうと考えています。
なお、2匹と出会えたからこそ生まれた漫画『勇者のひざには猫がいる』は完結済み。
「実家猫など、今まで接してきた猫との経験も総動員して作っています。原作は夫ですが、猫らしくない、見たことないような行動は修正し、リアルな猫らしさにこだわって作っているので、猫飼いさんには共感してもらえると思います」
愛猫たちは家族であり、恩猫--。そう話す汐里さんは自分が関わってきた猫との思い出を大事に懐古しながら、紡げた2つの命を愛で続けていきます。
(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)