狩猟用の罠「トラバサミ」また荒川河川敷で発見 「白骨化した動物の亡骸が挟まっていた」昨年も罠にかかった地域猫が見つかった現場付近
東京都足立区の荒川河川敷でイノシシやシカの脚を挟んで捕獲する狩猟用わな「トラバサミ」が見つかったことが分かりました。足立区によると、そのトラバサミには白骨化した動物の亡骸が挟まっていたといいます。
同河川敷付近では、昨年9月下旬にトラバサミのわなが仕掛けられ、右前足を負傷した猫が見つかっています。トラバサミは人や動物も足を挟まれてけがをする恐れがあり、鳥獣保護管理法で使用は原則禁止されているとのこと。
同区道路公園整備室西部道路公園維持課の担当者(以下、担当者)は「西新井警察署と区で確認したところ金属製の狩猟器具のようなものを発見しました。発見地付近に注意喚起の看板を設置しています。また区職員による現場点検を行いましたが、現時点でほかに同様の物はありませんでした。河川敷内で同様の物を見つけたら、触らずに最寄りの警察署までご連絡ください」などと、注意を呼び掛けています。
■ボランティア「亡骸は時間が経過して識別できる状態ではなかったよう…」
担当者によると、新たにトラバサミが見つかったのは4月29日。河川敷で子どもたちが野球をやっている時にボールがフェンスを飛び越え、草むらの中に落ちたとのこと。そこで関係者がボールを探しに行ったところ、トラバサミを発見したといいます。
「荒川河川敷の一部を足立区が野球場として利用させていただいております。今回トラバサミが見つかった翌日の30日朝、野球場の管理を委託しているシルバー人材センターの方からトラバサミの件で電話があり、すぐに職員が現場に行って確認しました。
見つかった場所はフェンスの向こう側で国土交通省の荒川下流河川事務所が管理しているところで、駆け付けた警察官がトラバサミを回収。また職員は金属探知機や棒などで現場周辺をチェックしたところ他にトラバサミは見つかりませんでした。見つかったトラバサミはサビていて白骨化した動物が挟まっていたので、最近わなにかかったものではなさそうです。地面に固定されていない形で置いてあったため、その動物が挟まって移動してきた可能性もあります」(担当者)
またトラバサミにかかっていた動物は、白骨化していたため何の動物か判別しにくい状況だったといいます。昨年9月、今年4月と相次いでトラバサミが見つかった河川敷エリアでは行方不明になった地域猫がおり、お世話をしていたという保護ボランティアのいなさんも新たにトラバサミが見つかったと聞きつけ、現場に足を運んだそうです。
「今回トラバサミが見つかった場所まで行って野球場を管理している方にお話を聞きました。現場は規制線が張られていました。トラバサミには骨と皮だけの動物の亡骸が挟まっていたと聞いて、昨年9月のトラバサミ事件が起きる前に行方不明になった地域猫が2匹いるので、亡骸はまさか…とは思いましたが。毛色を聞いたら、亡骸は時間が経過して識別できる状態ではなかったようで地域猫かどうかは分かりませんでした」(いなさん)
いなさんによると、地域猫のはなちゃん(雌・推定10歳以上)とじんたくん(雄・推定10歳)の2匹がトラバサミが見つかった昨年9月26日以前から行方不明になったといいます。トラバサミのわなにかかって右前足を負傷したちくわくん(雄・推定8歳以上)は足立区内で猫の保護活動をしているNPO法人「けだ・まも」(代表・中山亜子さん)に保護され、治療を受けて元気になりました。また事件が起きた河川敷のエリアでひとりぼっちになってしまった地域猫のもちょちゃん(雌・推定14歳)を、いなさんが保護しておうちにお迎えしました。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)