庭で見つけた“謎の生き物”が家族に 「ずっとのお家」を自分で選んだ、サビ猫おこげちゃん

「こげパン」などユニークな呼び名も持つ、おこげちゃんは繊細で臆病な反面、好奇心が強い子。人の顔を見分ける力があり、家族を上手に使ってドアを開けさせることもあります。

実はおこげちゃん、自ら飼い主さん宅に侵入し、おうちに居つくようになった“積極派にゃんこ”なのです!

■庭で眠っていた子猫が家の中に侵入してきて…

出会いは、2023年の夏。飼い主さんは自宅の庭に置いていた蓋つきバケツの上で生後2カ月ほどのおこげちゃんを見つけました。

「痩せこけたハクビシンのような生き物がお腹を上に向けて眠っていたので、ギョッとして悲鳴をあげました」

全く動かなかったため、飼い主さんは最初「死んでいるのかも…」と思ったそう。しかし、ムクッと起き上がった姿を見て、生きているのだと安堵。謎の生き物が子猫であったことを知りました。

へそ天で眠っていたものの、おこげちゃんは警戒心が強め。近づこうとすると、素早く逃亡。きっと、お腹は空いているだろう。そう思い、食べ物を差し出すと、おこげちゃんは葛藤の末、パクパク。その交流を機に、ご飯を貰いに飼い主さん宅へ来るようになりました。

「4週間ぐらいは外にいましたが、換気のために窓を開けていたら、人が見てない隙に家の中へ侵入。気づいたら家でくつろいでいる…ということが起きるようになりました(笑)」

もともと猫好きだった飼い主さんは家に猫が入ってくるようになり、ワクワク。高校に入学して間もない頃であったため、帰宅時におこげちゃんの姿を見ると、ストレスや不安が和らいでいきました。

おこげちゃんは最初こそ、家の中にいる姿を人間に目撃されると外へ出て行っていたものの、そのうちに気にしなくなり、1~2カ月ほど経つ頃には少しの散歩時間以外、外へ出なくなったそう。冬には窓が開いていても散歩に行かず、家の中で優雅に雪を鑑賞していました。

「こげと初めて一緒に寝た日、違和感で目を覚ますと、顔の隣にうんちが転がっていたことがありました。こげとの生活の中で一番、衝撃的な出来事でした(笑)」

■痩せこけていた子猫がタヌキのようなシルエットに!

怖がらせていなくなってしまわないよう、飼い主さんはおこげちゃんが人馴れするまでは細心の注意を払いながら、生活。

家族の愛情を受け、痩せこけていたおこげちゃんはタヌキのようなふくふくシルエットになりました。

「心も許してくれ、私にお尻をくっつけて、隣で寝るようになりました」

保護当時から続いている散歩は、今でも日課。たまに獲物をお土産に持って帰ってくるなど、ワイルドな狩猟本能は健在です。

「身体能力の高さも、保護当初と変わっていません。太っても冷蔵庫の上に飛び乗り、抱きつこうとすると、スルッとかわされます」

しかし、その一方でビビりな一面も。野良猫が窓辺に来ると、部屋の奥へ逃走します。

「長毛でおしゃれな色合いなのに、尻尾だけトトロみたい。地味にお尻が臭いところも、散歩から帰ってきた時に、色々な植物の種子を体につけてくるところもかわいいです」

珍しい色合いの被毛を持っているところや、繊細で賢い性格をしているところにサビ猫の魅力はある。そう話す飼い主さんは、おこげちゃんと家族になれたことに大きな喜びを感じています。

「こげだけでなく、不登校だった小学生の頃も私は家の庭に住み着いた猫に心を救われたので、すべての猫に感謝しています。これからも、家に入り浸ってほしい」

出会うべくして出会った。飼い主さんとおこげちゃんには、そんな言葉が似合います。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)

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