長すぎる就活に学生悲鳴…4割が9カ月超え 3年生夏から始まるインターンの“試練”

若年層の求人難で、企業規模を問わず新卒採用に力を入れる企業が増える中、実は「就職活動の期間が長すぎてしんどいです……」という学生の声も増えつつあることをご存じですか?

内閣府が発表した「学生の就職・採用活動時期等に関する調査報告書」によると、2023年卒の学生を対象に「就職活動の始まりから終わりまでの期間」について、以下のような結果となりました。

■2023卒の就職活動期間「9カ月以上」4割以上

3カ月以内……19.1%

4カ月程度……10.1%

5カ月程度……6.0%

6カ月程度……5.5%

7カ月程度……4.1%

8カ月程度……6.2%

9カ月程度以上……43.1%

まだ終わっていない……5.9%

4割以上の学生が、「9カ月程度以上」と回答しています。4年前に実施された同調査では、3カ月以内が35.2%、9カ月程度以上が21.7%であったことを比較すると、長期間にわたって就職活動に取り組む学生の割合が大きく増えていることがわかります。

■長すぎる原因「インターンシップ」

この長い就職活動の最も大きな原因が大学3年生の夏休みにピークを迎える「インターンシップ」です。

就職意識の高い学生を囲い込むため、就職活動が本格化する前に気軽なワンデーインターンシップから数週間にわたる職場体験インターンシップまで、さまざまなインターンシップが開催されます。

「自分の行きたい業界がわかった」

「他の学生との交流も楽しかった」

といった肯定的な意見も多いものの、長すぎる「就職活動」のデメリットをヒシヒシと感じている学生も少なくありません

■長い分焦ってしまうし、友人と自分を比べてしまう

大学に入ったころから就職活動を意識し、TOEICのスコアを伸ばしたりボランティア活動に参加してみたりと、コツコツ努力を続けてきたAさん(関東在住・取材当時大学4年生)は、張り切って大手企業のインターンシップにも多数応募したそうです。

ところが、オンラインで視聴できるワンデーイベントには参加できるものの、3日~1週間の本格的なインターンシップはエントリーシートやWebテストで不合格続き……。すっかり自信を無くしてしまったAさんは、目についた新卒エージェントサービスに登録します。

毎日のように送られてくるスカウトメールに少しやる気を取り戻したものの、全く興味のない職種や業種ばかりで、再度疲弊。そのころには友人に「インターンシップ参加者だけの早期選考で内定もらった!!あとは大手のチャレンジ企業ちょっと受けて就活終える予定~!!」と喜ぶ人が出てきてショックを受けてしまったそうです。

「自分は夏のインターンシップが忙しくなるだろうと思って、3年生のサークルのイベントリーダーになるのは諦めたくらい、真面目に就活していたのに……何が悪かったんでしょう」と肩を落とすAさんですが、最終的にSPIで受けられる地元地方自治体の採用試験を受けることに切り替え、無事に7月に内定を得たそうです。

「結局、1年間就活をしていたことになります。はじめから公務員1本に絞っていたら、3年生の夏はもっと楽しく過ごせていたかもしれません。それから、親に聞いていた就職氷河期みたいに、周りの友達も含めて全員が大変な思いをしていたら、なんで自分だけダメなんだろう……と落ち込むこともなかったと思います。求人倍率が良くて、就活楽そうでいいね!ってバイト先の社員の人に言われましたけど、僕はしんどかったです」

Aさんが今楽しくお仕事をされていることを祈るばかりです……!

【参考】

▽内閣府/学生の就職・採用活動時期等に関する調査報告書(2023年12月8日)

◆沼田 絵美(ぬまた・えみ)人材業界や大学キャリアセンター相談業務などに20年以上携わる国家資格キャリアコンサルタント。

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