「ネットカフェ生活でも生活保護が申請できる」ってホント? 住居がなくても受給するためのステップと支援策

やむを得ない事情から家を失ってしまい、ネットカフェで生活する人が増えています。住所が不定となるネットカフェ生活では、生活保護が申請できないと困っている人も多いようです。

しかし、じつは生活保護の申請はネットカフェ生活であっても可能なのです。日本では、すべての国民に生活保護の「申請権」があります。

そのためネットカフェで生活していても、最寄りの福祉事務所の相談窓口で、「生活保護の申請の意思を表明する」だけで、生活保護の申請書が交付されます。

申請後には、生活保護の受給条件を満たしているかどうかが審査され、生活保護の条件を満たしていることが認められた場合は、受給の決定通知が発送されます。また、「生活困窮者自立支援制度」など、生活保護以外の制度で生活の立て直しが可能である場合は、そちらが優先に適用される場合もあります。

ただ、もしも申請ができても、決定通知の発送や生活保護の「受給開始」には、住居が決定していることが条件です。

申請には住所が不要ですが、生活保護を受給するには住居を決めなければなりません。このような生活保護受給のための住居確保という課題を解決する法律が「住宅セーフティネット法」です。

ネットカフェで生活する人やホームレス状態の人を救済するために、2017年10月25日に「住宅セーフティネット法」が改正、施行されました。これによって、ネットカフェで生活をする人やホームレスになってしまった人が住居を契約する際に、「居住支援法人」からサポートが受けられるようになったのです。

居住支援法人は、住所を持たない人を拒まない住居(都道府県に登録された登録住宅)への入居を支援している法人団体です。入居支援だけでなく、生活保護申請のサポート、高齢者の見守り支援などの各種支援も実施しています。

また、住所が現在ない人だけでなく、現在の住居から退去する必要があるものの転居先を確保できていない人や、収入が途切れることが決定してどうすれば良いか分からない人などでも、居住支援法人に相談することは可能です。

では実際に住所がなくなるような困った事態に陥った場合、まずは居住支援法人に相談するべきなのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞いてみました。

北村さん「まずは、お困りになっている本人の住民票がある地域の自治体に行き、福祉課の窓口にまず相談するべきです。すると福祉課の人が居住支援法人やその他の支援機関と連携し、問題解決に協力してくれるはずです。

しかし担当の人によっては親身になって相談にのってくれない場合もあります。もし担当者の対応に不安を感じた場合は、生活困窮者支援をおこなっているNPO団体にまず相談し、福祉課の窓口に一緒に来てもらう方がいいでしょう。また、弁護士事務所に相談し、弁護士同伴で福祉課の窓口に行くのも効果的です」

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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