工事現場をさまよっていた猫、近所の若者らが交代でエサやり命をつなぐ→その後保護され、今は幸せニャ

■工事現場でポツンと座っていた猫

猫の「鶴ちゃん」は、工事中の危険な場所にポツンと座っていたところ、愛護団体NPO法人ねこけんのICHさんと出会った。看板の下に座って、時折行き交う人を目で追っていたという。

「ここは危ない。耳カットはないけれど保護かな。でも保護してもシェルターの空きがないし、かといって人に慣れていると虐待とかも心配だし…と悩みつつ、まずは様子を観察しました」

少し待つと、近くにいたお店の若者がごはんをあげに来た。彼らはどうやら鶴ちゃんに交代でごはんをあげているようだった。

「話を聞くと、元は飼い猫だったのですが、棄てられて独りぼっちでいたそうです。かわいそうに思った近くのお店の若い子達が、毎日交代でごはんを持ってきては食べさせてあげていると聞きました。でも、みんな連れ帰って飼うのは難しいそうで。鶴ちゃんは、いつも独りでぽつんと座って、みんなが来てくれるのを待っているということでした」

■二度と危険な目には遭わせない

人馴れしていて、近寄ると「スリスリ」してきた。離れようとすると転がり「待って待って、もっと撫でて」とせがんできた。人がいなくなると、再び行きかう人を目で追う鶴ちゃん。ICHさんは若者たちに断って、鶴ちゃんを連れて帰ることにした。

「交代でご飯をあげていた若者たちは、『寂しくなるけど、この子のことを考えると保護して貰った方が幸せだから』と、笑顔で送り出してくれました」

保護場所が満員だったため、ICHさんは急遽お風呂場をカスタマイズして、暖かい保護スペースにした。その間お風呂が使えず、銭湯に行っていたという。

「行きかう人を目で追っていたのは、もしかしたら、飼い主さんが迎えに来てくれるのを待っていたからかもしれません。待っても待っても、誰も迎えには来てくれません。それでも、ついつい行きかう人々の中に懐かしい顔がいないか探してしまったのでしょう…幸い、心優しい若者や人々がいてくれたおかげで鶴ちゃんは、人知れず命を落とす事も無く生きてこられました」

恐ろしい虐待などに遭わなかったことも幸運だった。人に慣れた子は、可愛がられる反面、虐待に遭う危険もある。鶴ちゃんは、無事ねこけんの保護猫鶴ちゃんとなったので、このような危険にさらされることは二度とない。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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